大学生が独学で開業したラーメン店が大バズり!週3日しか開店しないこだわりの味『武志』(飯塚市)
福岡県飯塚市の県道402号線沿いにある『武志』。一瞬、店とは気づかず通りすぎてしまいそう。軒先に吊るされた赤い拡声器がオープンの目印だそうです。
のぞいてみるとカウンターのみ。私に気づいてくれた22歳の若き店主・大井太暉(おおいたいき)さんが元気に迎えてくれました。
開店したのは2年前。当時、太暉さんは20歳の”現役大学生”
学生が自ら店を構えることにまず驚きますが、それ以上に一杯のラーメンにかけるこだわりと情熱、そのおいしさに衝撃を受けました。
看板メニューの「中華蕎麦」(1000円)を注文。奮発して味玉とチャーシューをトッピング(+300円)!まず、キレイなピンク色の豚チャーシューが目に飛び込んできます。チャーシューは豚バラ、ロース、タタキのようにわらであぶった肩ロースの3種類で、脇役と言わせない存在感。ラーメンの命であるスープは透明感のある澄んだ醤油味。ダシは鶏ガラベースで”博多地鶏”、”比内鶏”、”宮崎地鶏”の3種類をブレンドしています。添加物は一切入っておらず、ダシだけの深い味わいがすごい!一滴残らず飲み干したいぐらいです。
麺にもこだわりが!5、6種類の麺をスープによって使い分けているのです。私が食べた「中華蕎麦」は平打ちのちぢれ麺。スープの絡みもよし!ツルッとしたのどごしもよし!
「全て手打ちなんで、1日分の麺を作るのに半日はかかるんですよ。だから、1週間の半分は仕込みです」という太暉さん。週3日しか店を開けていない理由もこれで納得。
食べ歩きが趣味の太暉さんは、よく友人とラーメンを食べ歩いたと言います。中でも”東京ラーメン(中華そば)”との出会いに感動した太暉さんが、ラーメン作りを始めたのは3年前。コロナによる自粛生活で大学にも行けず食べ歩きもできない、もどかしい時期でした。「東京にラーメンを食べに行けないのであれば、自分で作ろう!」と決意。太暉さんのラーメンに対する”飽くなき探求心”が芽生えた瞬間でした。
初めて作ったダシは、スーパーで購入した普通の鶏ガラ。その後、肉や魚介、野菜などあらゆる食材や部位別にとったダシのひとつひとつを舌にインストール。自粛生活中に作ったラーメンの数はなんと600杯に上るそうです!
ラーメン作りを極めるには弟子入りが一般的だと思われますが、太暉さんは全て独学。最終的には人気店のSNSでの情報を元に、ラーメンを再現。その後、実際に店に足を運び、その味を確かめていたといいます。「まず一度自分で作ってみて、店で本物を食べて答え合わせですよね。ダシをこう変えればこの味に近づけるんだ!って思いながら食べていました」
そして大学3年生の時、満を持して地元飯塚市に週に1回、日曜限定で店を構えました。大学生が作るこだわりの“東京ラーメン”の噂はたちまち広がり、開店の6時間前から並ぶほど!SNSでも大バズり!
ただ、本業は大学生。進路選択の時が迫っていました。「教員かラーメンか進路を迷っていましたが、大学4年生の教育実習が終わった後にラーメンの道だとはっきりしました。やっぱり俺はラーメンが好きだ!って」
決断した太暉さんは大学を卒業し、自身の誕生日である2023年3月30日に営業を再開したのです。
隣にいるのは母の幸子さん。多くは語らず、穏やかな表情で愛息子に力を貸す姿が印象的でした。まだまだ語り尽くせないほど魅力たっぷりの『武志』。ぜひ自分の舌で確かめてみてください。
『武志』
福岡県飯塚市下三緒311-35
営業日は月によって変わるのでインスタでチェック!