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KBCアナウンサーブログ富田 薫

80年以上前にこれだけの演出を考えたのは驚異的! 『42ndストリート』

2019年11月27日

富田 薫

(c) Brinkhoff/Mogenburg この映画の詳しい情報はこちらまで→https://www.instagram.com/shochikucinema/

 「こんなに歌が上手い人、今まで見たことない!」といったレベルの出演者が次々に登場する。音ははずさないし、セリフも完璧。「プロだから当たり前さ」とおっしゃるかもしれないが、(途中休憩はあるものの)ノンストップで進行するライブ・ステージだ。

 その表現力・舞台のクオリティは群を抜き、ニューヨーク・ブロードウェイのレベルの高さを痛感させられる作品だった。

 この『42ndストリート』は、お手頃な価格でブロードウェイの舞台を映画館のスクリーンで…がコンセプトの「松竹ブロードウェイシネマ」作品のひとつだ。

 ルーツは、1933(昭和8)年にアメリカで公開され大ヒットしたミュージカル映画『四十二番街』。それをもとに1980年にブロードウェイ・ミュージカルとして上演され、トニー賞の作品賞と振付賞を受賞して、最終的に8年間のロングラン・ヒットを記録(2001年にもリバイバル公演)した舞台を「撮影」したものだ。

 だから、すべての高性能カメラがベストポジションに置かれ、役者の細かい表情はもちろん、音声を収録するため額に付けられた小型マイクまでわかるほどのアップも登場する。

 劇場公演だから客席からの拍手やウケてざわつくノイズさえも耳に届き、さらには観客を入れずに収録したシーンもあって、群舞するダンサーの間をカメラが縦横無尽に移動していく演出もある。特に、50人以上のダンサーによる群舞を、通常は見られない上から撮影した「バークレイ・ショット」は必見だ。

 「一度は、本場ニューヨークのブロードウェイで…」と思ってもチケットを手に入れるのは至難の業だが、日本にいながらにして特等席で鑑賞している気分になれる優れモノなのだ。

ベテラン女優ながら、けがを負ってしまったドロシー・ブロック(左:ボニー・ラングフォード)は、ぺーぺーのペギー・ソイヤー(右:クレア・ハルス)に当然つらく当たるのだが…。

 ストーリーは、映画版が制作された1933年のアメリカの世相を色濃く反映している。4年前に起きた株価大暴落によって経済は衰退し、1,300万人以上が職を失い、工業生産高は半減したといわれる。だから「職を失い、家もなくなった」とか「(食事は)炊き出しにたよるしかない」といったセリフも出てくる。

 そんな中、トム・リスター扮する演出家のジュリアン・マーシュは、新作ミュージカルをなんとか成功させたいと孤軍奮闘中。いよいよ舞台の幕が開くというときになって、主演女優ドロシー・ブロック(演:ボニー・ラングフォード)が足にけがを負ってしまう。

 万事休すと思えたとき、役者としては未知数だが熱意は人一倍あるペギー・ソイヤー(演:クレア・ハルス)がきら星のごとく登場。この3人は舌を巻くほど歌も演技もうまい!そこに、威張りたがりのパトロン、浮気相手のイケメン俳優、おせっかいな秘書といった個性的なメンバーが絡んで笑いをさそい、でも最後はほろっと泣けて感動し…といった具合。

「大恐慌」による不況の真っただ中だからこそ「笑い」が求められたワケで…。

 深刻な経済危機に見舞われたアメリカの人々が、この物語の「今は苦しくてもなんとかなる」「努力はいつか実を結ぶ」「目標を持ち、それを必ず達成する意思を持て!」といったメッセージに共感できたことが、映画も舞台もヒットした理由だろう。

 私たちの「経済環境」は当時のアメリカとは違うが、世の中のいたるところに乗り越えなければならない「ハードル」がある点では共通していると感じる2時間15分だった。
 
 「コンセプトは、ブロードウェイの舞台を映画館のスクリーンで…」と書いたが、どうせならニューヨーク発祥で、日本では最大の広さを持つ「ディーン ・アンド ・デルーカ(DEAN & DELUCA)福岡店(ソラリアプラザB2)」に立ち寄り、頭の中をニューヨーカーにしてから劇場に向かうのもひとつのアイデアだと思った。これは宣伝ではないけれど…。

 ※公開日:12月6日(金)からT・ジョイ博多(1週間限定公開)ほか全国ロードショー!
 ※配給:松竹 (c) BroadwayHD/松竹

80年以上前にこれだけの演出を考えたのは驚異的。笑って、泣いて、ほろりとさせて、最後には得も言われぬ感動が…。