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KBCアナウンサーブログ富田 薫

松竹ブロードウェイシネマ『シラノ・ド・ベルジュラック』

2020年03月11日

富田 薫

ⓒ Carol Rosegg

 日本映画史上初となるシリーズ『松竹ブロードウェイシネマ』の第4弾。シリーズ自体のコンセプトは「お手頃な価格でゆったりと、本場ブロードウェイの傑作舞台を映画館で楽しむこと」なので、本作も2007年にニューヨークのリチャード・ロジャース劇場で上演されたステージを“撮影”したものだ。

 オープニングは、満員御礼となった客席の俯瞰(ふかん)映像で始まる。“Playbill”と呼ばれる冊子を手に開演を待つ紳士・淑女が見て取れるが、続いてカメラはステージ正面の特等席の位置でスタンバイする。そこから目に入るのは、実際に現地に行かなくては味わえない「ステージ上の嵐の前の静けさ」だ。

 一度幕があがれば2時間21分のステージはアッという間で、ミュージカルの本場かつ世界レベルの出演者による丁々発止が繰り広げられる。

ロクサーヌ役のジェニファー・ガーナー が堂々たる淑女ぶりを披露。

 主人公は17世紀に実在したフランス軍所属の剣術の達人シラノ・ド・ベルジュラック。「どんな女性をも魅了する恋文を詩人のように綴る」なんてキャラの彼は、気が強くて美しいロクサーヌに恋心を抱くが、自分の見た目に自信が持てず…って例の“お鼻”のことね…告白することをためらっていた。

 ロクサーヌが、クリスチャンというイケメンを慕っていることを知り、全く文才のないその若者のために恋文のゴースト・ライターを務めることになり…という展開。

 劇作家エドモン・ロスタンがこれを書いたのはおよそ123年前だが、その割に“ポップ感”が漂うのは、ブロードウェイ版の脚色と脚本翻訳を手掛けたアントニー・バージェスという人物が『時計じかけのオレンジ』の原作者だからだろう。

イケメンのクリスチャン役は『プラダを着た悪魔』『メリンダとメリンダ』『9デイズ』などに出演したダニエル・サンジャタ。

 なんと言っても、シラノを演じるケヴィン・クラインの存在感に圧倒された。最近では実写映画『美女と野獣(2017)』のベルのお父さん役でおなじみだが、キャリアのスタートは舞台俳優だ。

 膨大なセリフを披露するのと同時に「目は口ほどにものを言わせる」シーンを連続でこなす。当たり前だと言われればそれまでだが、全く“かまず”に演ずるその姿からは最後まで緊張感が伝わってきた。

 そしてロクサーヌ役のジェニファー・ガーナー。日本でも放送されたTVドラマ『エイリアス』でゴールデングローブ賞の最優秀女優賞を受賞しているが、あの作品での“和服を着てアクションをこなすスパイ”というトンでもキャラは鳴りを潜め“グッとくる”シーンも堂々とこなしていた。

 早い話が「シラノ・ロクサーヌ・クリスチャンの三角関係」だが、それを“奥深い人間の性(さが)”として描き切った出演者やスタッフへのスタンディング・オベーションに(エアーではあるけれど)、ニューヨークの観客とともに加わることができたのだった。

 ※3月13日(金)からT・ジョイ博多などで全国ロードショー。
 ※この作品のさらに詳しい情報はこちらまで→https://www.instagram.com/shochikucinema/

実は恋文の“ゴースト・ライター”であるシラノ・ド・ベルジュラックを軸に物語は進み…。