「ハチャメチャ」なのに、続きがナゼか楽しみで…。 映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
2020年03月16日
富田 薫

「DC映画」にまたしてもやられた!
昨年のこのコラムで、やはりDCの『ジョーカー』を取り上げた際に「劇場を出た時の感覚は『イージー・ライダー』や『タクシードライバー』のそれに近い」と書いたが、今回は『時計じかけのオレンジ(1971)』だ。
あの作品が「表面上は暴力を扱っているが、真意は社会風刺」だったのと同じように“ハーレイ・クインが放つ暴力性”は、あくまでも「抑圧された女性たち」を解放するパワーとして描かれている。

あらすじはこうだ…『スーサイド・スクワッド(2016)』で“ジョーカーの恋人だった”ハーレイ・クインは、彼との失恋を機にそのハチャメチャぶりを加速させ、街にはびこる悪党どもから命を狙われる存在になっていた。
そんな敵から自らを守ると同時に“謎のダイヤ”をめぐって、ユアン・マクレガー扮する“ブラックマスク”と対決することになり、クセのある女性ばかりを集めてチームを結成する…というお話。

特筆すべきは、主人公ハーレイ・クインを演じるマーゴット・ロビーだ。ここ数年を振り返っても『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017)』でトーニャ・ハーディングを演じてアカデミー主演女優賞ノミネート。日本で今年公開された『スキャンダル(2019)』のニュース・キャスター役でもアカデミー助演女優賞にノミネートされての本作。
変幻自在にキャラを演じ分けるその才能を前にすれば、中途半端な若手女優は「裸足で逃げ出す」レベル。もちろん演技の上手いハリウッド女優は数多くいるが、彼女の場合は「時代が求める存在感」を身にまとっているのが強みだ。

自分たちの年代には懐かしい「ローラーゲーム」が登場し、クライマックスでの“ブラックマスク”との対決は漫画チックな展開。さらには、ここでそんな武器使うはずないだろ!というツッコミどころが満載。
しかし、最後の最後に披露される彼女のセリフは、呆れることを通り越して快感すら感じるのだった。
※2020年3月20日(金)から、T・ジョイ博多、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13ほかで全国ロードショー
※この映画のさらに詳しい情報はこちらまで→http://wwws.warnerbros.co.jp/harleyquinn-movie/
