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毎週土曜 午前10:00~

放送内容

前立腺肥大症

2019年11月16日

[過去の放送内容]

今回、前立腺肥大症についてお話を伺ったのは、原三信病院 泌尿器科 副部長の野村博之(のむら ひろゆき)先生です。

■前立腺・前立腺肥大症とは

前立腺は膀胱のすぐ下に尿道を取り囲むようにある男性特有の臓器です。
前立腺液を分泌して精子の働きを活発にする働きがあります。
健康な前立腺はクルミほどの大きさですが、多くの方は40代から前立腺肥大が始まり、
80歳になるとおよそ8割の方が前立腺肥大症になるといわれています。
前立腺が肥大する原因ははっきりとは分かっていませんが、
高齢になるほど前立腺肥大症が増えることから、加齢と男性ホルモンが影響していると考えられています。


■前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の主な症状は、大きくなった前立腺が尿道を圧迫することで生じる排尿障害です。
特にトイレが近くなる頻尿は最も早期発見につながる症状で、
患者の過半数で前立腺肥大症と診断されるきっかけになっています。
他にも、夜中に何度もトイレに起きる夜間頻尿や急な尿意を我慢できない尿意切迫感など、
健康な時は無意識に済ませている排尿がスムーズにいかなくなることで、日常生活に大きな支障をきたすようになります。


■前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症は軽症であれば薬物治療が有効ですが、ずっと効くわけではないので効かなくなると手術が必要です。
手術は長い間、出血との戦いでした。
前立腺は細かい血管が集中した臓器で、ちょっとこすれただけで出血してしまいます。
この出血をいかに食い止めるか、出血させないで組織を除去するかを追求して手術は進化してきました。
具体的には患部を切り取る切除術、くり抜く核出術、最近では患部をレーザーで溶かす蒸散術が広く普及しています。


■前立腺肥大症の手術

前立腺肥大症の手術は尿道から内視鏡を挿入して行われます。
経尿道的前立腺切除術は内視鏡の先端に装着したループ状の電気メスで患部を少しずつ削るように切り取ります。
現在の標準的な手術ですが、出血しやすく再発のリスクがあります。
ホルミウムレーザー前立腺核出術は前立腺の内腺と外腺の境目にレーザーを照射して内腺をくり抜きます。
出血量が少なく再発もほとんどありませんが、術後に尿もれが起こりやすいという指摘もあります。
光選択式レーザー前立腺蒸散術は血液の成分にだけ反応して熱を発する特殊なレーザーで患部を溶かします。
血流の豊富な前立腺にこのレーザーを照射すると組織が瞬時に蒸発して表面が固まるため、
出血量が非常に少ないというメリットがあります。


■さらに

最近では前立腺に光ファイバーを接触させてレーザーを照射する接触式レーザー前立腺蒸散術という手術が登場し、
より高い治療効果と安全性に注目が集まっています。
この治療法で用いられるダイオードレーザーは止血作用が強く、出血がほとんどないので輸血の心配がありません。
しかもクリアな視野で手術ができて手術時間の短縮につながります。
手術後や退院後も出血によるトラブルが少ないため、再入院や再手術の必要はありません。
ただし、レーザーの照射面を固める作用が強いので副作用で尿道が広がらなくなる恐れがあります。
治療効果は医師の経験や技量に左右されるため、医師のトレーニングが課題になります。

過去の放送内容