骨粗鬆症
2021年04月17日
[過去の放送内容]
今回、骨粗鬆症ついてお話を伺ったのは、原土井病院 整形外科 医師の藤原 悠子(ふじわら ゆうこ)先生です。
■骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨を構成するカルシウムなどのミネラル成分の詰まり具合を示す“骨密度”が低下して、骨が折れやすくなる状態です。
痛みなどの症状はありませんが、つまずいて手をついたり尻もちをついたりしたときに骨折することがあります。
■骨とは
私たちの骨は、古くなった骨を壊す破骨細胞(はこつさいぼう)と、新しい骨を作る骨芽細胞(こつがさいぼう)によって常に生まれ変わっています。
通常は、破骨細胞によって古い骨が壊される骨吸収(こつきゅうしゅう)と、
骨芽細胞によって新しい骨が作られる骨形成(こつけいせい)がバランス良く行われているのですが、
さまざまな原因で破骨細胞の働きが上回ると骨の中がスカスカの状態になります。これが骨粗鬆症です。
■骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症は運動不足や喫煙などに由来する生活習慣病と関連があると言われていますが、もっとも大きな原因は加齢です。
■女性に多い理由
国内の骨粗鬆症患者数は1000万人以上といわれています。
性別では圧倒的に女性が多く、特に50代後半から急増しますが、これは女性特有の体のメカニズムが関係しています。
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」は破骨細胞の数を抑えると考えられていますが、
50代で閉経を迎えるとエストロゲンの分泌が急速に低下し、破骨細胞が一気に増えて骨粗鬆症が進んでいくと考えられています。
■その他の要因
男女を問わず、日頃からお酒をたくさん飲む人は骨粗鬆症になるリスクが高くなります。
アルコールには利尿作用があり、お酒を飲みすぎると体内のカルシウムが尿と一緒に流れ出てしまうとされています。
■骨折しやすい部位
骨折をしやすいのは手首の骨、太ももの骨の付け根部分、背骨などです。
特に背骨では、背骨を構成する椎体が押し潰されて、気付かないうちに骨折していることがあります。これは「いつの間にか骨折」と言われます。
また骨粗鬆症がかなり進んだ人では、尻もちやくしゃみだけで骨折することもあります。
■骨折の影響
国が行った調査によると、介護が必要となる原因として骨折は3番目に多いという結果が出ています。
特に、腰や足の骨折は歳を重ねるほど治りにくいとされ、そのまま寝たきりになるケースも少なくありません。
■骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症の予防で大事なのは運動と食事です。適度に体を動かすことで骨に刺激が加わり、骨が強くなると言われています。
また、食事では骨を作るのに欠かせないカルシウムとビタミンDをとることが大事です。
乳製品や魚などに多く含まれるので積極的に食べるようにしましょう。
■まとめ
骨粗鬆症が進むと骨折を繰り返すことがあるので早期発見が重要です。そのためにも年に1回は骨密度の検査を受けましょう。