認知症
2022年08月13日
[過去の放送内容]
今回、認知症についてお話を伺ったのは、
久留米大学 高次脳疾患研究所 教授の
小路 純央(しょうじ よしひさ)先生です。
■認知症とは
認知症とは、さまざまな要因で脳の神経細胞がなくなったり、
うまく機能しなくなったりする疾患です。
認知機能が障害されて、普段の生活に支障が及ぶようになります。
■物忘れとの違い
一般的な物忘れでは、“自分が忘れている”という自覚があります。
一方、認知症では、“自分が忘れている”という自覚がなく、
ヒントやきっかけがあっても、思い出すことができません。
■主な認知症① アルツハイマー型認知症
認知症の原因として最も多いとされ、
全体の50~60%を占めると考えられています。
「アミロイドベータ」という異常なたんぱく質が
脳に溜まって起こると考えられています。
初期の症状は、日付が分からない、最近のことを覚えられない、
慣れた道で迷うといったものです。
■主な認知症② 脳血管性認知症
アルツハイマー型認知症の次に多いとされ、
全体の20%程度を占めると考えられています。
脳出血や脳梗塞が原因で、その症状はさまざまですが、
感情の調節ができない”感情失禁”や、
物忘れがある一方で、
判断力や理解力はある”まだら認知症”などがあります。
■主な認知症③ レビー小体型認知症
脳の中に「レビー小体」という、特殊な物質が溜まって起こります。
手が震えたり、歩き方が小刻みになったりするのが特徴的な症状です。
■認知症の対策
認知症の対策としては、生活習慣病の予防と、
早期発見・早期ケアが大事です。
高血圧や脂質異常症などによって脳卒中が起こると、
脳血管性認知症の発症リスクが高くなります。
一方、糖尿病で血糖が高い状態が続くと、
アルツハイマー型認知症の原因とされる、
アミロイドベータが溜まりやすいといわれています。
アミロイドベータは、長い時間をかけて脳に蓄積されます。
40~50代といった比較的若いころから、生活習慣病には注意しましょう。
普段の生活では、バランスの良い食事や適度な運動、
スムーズなお通じを心がけましょう。
■良質な睡眠
認知症の予防で最近、良質な睡眠が注目されています。
良質な睡眠は、認知症の発症と深い関係がある
アミロイドベータを洗い流すと考えられています。
一方で、質の良くない睡眠は、
生活習慣病の発症や進行と密接に関係すると考えられています。
■まとめ
認知症の対策として「快食」・「快眠」・「快便」、
そして心地よく楽しく活動する「快動」の4つの快が大事です。
認知症は、その種類によっては早期に対応することで、
症状が大きく改善するものがあります。
また、早期に発見し、治療やケアをすることによって、
症状を遅らせることも十分可能です。
そのためには、本人や、家族など介護者の生活の質を良くすることが大事です。
併せて、地域で高齢者を守る取り組みも重要だと考えられます。