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2020年度の災害を振り返る 今教訓にすべきこと その3

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2021年04月21日

(太田)なるみちゃんは、去年9月の台風10号って覚えています?

(百市)覚えています。9号からの10号という流れをすごく覚えています。
(太田)巨大な勢力で九州にやってくるといわれていましたが、実際は、そんなに被害が出ませんでした。ただその中で、台風10号に対して、住民の皆さんがしっかり避難行動をとった。その台風10号について防災教育が専門の九州大学の杉本めぐみ准教授に話を聞きました。

(杉本) 私は、台風10号の 各ステークホルダー(利害関係者)の行動を大変評価しています。まず、第一は国交省と気象庁ですね。東京で並んで記者会見を行いました。その中で九州を地方扱いせずに何度も丁寧に避難を促したというのが大きかったと思います。
そのおかげで、避難物資はもうあの台風が来る3日前ぐらいからスーパーの陳列台からほとんどなくなりました。それぐらい個人の備えがきちんとできたと思います。

ただ、一つ残念に思っている点は、今回球磨川の被害が起きた流域の自治体がなかなか決断をしなくて、災害前夜のギリギリに集団避難のバスを出すという決断をして、熊本市内の体育館への避難を決めたことです。
もっと早くに避難を先に進め、ギリギリの時ではなくもう1日ぐらい早めに熊本市内の体育館に避難させることができたのではという点においては、私は自治体の行動は少し遅かったと言うふうに考えております。

個人の備えについてももう一点評価すべき点があります、住民が自分のお金でホテルへの避難を決めて行なったということもありました。ホテルなどの宿泊施設がほとんど満室になったということは、大変大きかった点だと思います。

要するに、我々が思う以上に個人の方々が自分達の避難をどうすればいいかということを考えて、ベストな方法でホテルを選ばれたということです。
こういった選択をした方が多かったというのは非常に画期的だったと思います。

(太田) そして、今回はそんなに大きな被害は出なかったわけですよね。 それを住民はどう捉えればいいのですか?

(杉本)
正直に言いますと、私自身も知っていたことなのですが、台風9号が海水温を下げて、今回の台風10号はそれほど大きくならないということは、実は事前に知っていた方もおられます。
だからといって、台風の規模が小さくなることが分かっていたけれど、それに対して、気象台は過度に情報を抑えるというような事しませんでした。それは大変良かったと考えています。
ただもっともっと住民が情報に習熟して、そういった気象庁が今回の台風は少し、思うよりも規模が小さくなると言った情報を出しても、市民が柔軟に対応できるようになっていけば、こういった情報をもっと気象庁も柔軟に出していくことができると思います。
要するに、市民がもっと上手く気象情報を利用できるようにするには、まだ途上だと思いますので、私は今回の気象庁の情報の出し方も、メディアの出し方も妥当だったと考えております。
ただ、この狼少年のような状態が何度も繰り返されると、住民が避難しなくなるということがあります。
例えば、逃げるインセンティブをつけるために、5回必ず避難所に来たら、その避難所からちょっとプレゼントを渡すとか、楽しいイベントをするとか、何かそういった工夫をもっとするような時代になってもいいのではないかと私は考えております

【今日のポイント】

(百市)今回大きな被害が出なかったことに対して、
それはあくまで、一人一人が意識高く備えた結果であって、その備えを緩めるということが絶対あってはいけないなと、改めてお話を伺って感じました。

今日のテーマは「2020年度の災害を振り返る 今教訓にすべきこと その3
去年9月の台風10号をめぐる動きを振り返りました。

それでは今日のポイントを太田さんお願いします。

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