火災続く“大乾燥”の冬 東京都心は“今世紀最少”降水量「災害級」ドカ雪&豪雨も
社会|
12/07 23:30
茨城県日立市で発生した火災。火元の住宅、約130平方メートルが全焼し、高齢の男女2人が死亡しました。東京都心では、9月から11月の降水量が今世紀で最も少なくなるなど、乾燥する太平洋側では、火災のリスクが高まっています。 ■「災害級も」“異例”ドカ雪と火災 いよいよ到来した“今季最強の寒気”。おととい5日、観測地点の6割にあたる546地点で0℃を下回る“冬日”となりました。 (草薙和輝アナウンサー)「車が…道路からはみ出して倒れてますね」 毎年の大雪に慣れた“豪雪地帯”でも… (肘折温泉の住民)「例年から見ると、ちょっと早いですけど雪囲いが終わっていない人もいますね」 一方… 乾燥が続く太平洋側では、火災が相次いでいます。専門家は… (三重大学地球環境学立花義裕教授)「“極端な冬”になると思いますね、今年は“災害級の現象”が起きると思います」 きのう6日、北海道では… (草薙和輝アナウンサー)「この辺り日が沈み、かなり寒くなってきてますが、今パトカーが止まって…あっその奥ですね。車が、道路からはみ出して倒れてますね」 フロント部分が雪に埋もれ、斜めになった乗用車。数10メートル続く轍が、道路から外れていった状況を物語ります。 (草薙和輝アナウンサー)「こちらカーブの手前ですね。おそらく曲がることができずに道から外れ、転落してしまったようです。そしてナンバー見てみますと『わナンバー』。ですからレンタカーですね」 ドライバーは雪道に不慣れな観光客だったのでしょうか。さらに、運転には慣れているはずのプロドライバーも… (草薙和輝アナウンサー)「このあたりの坂道、かなり地面が凍って滑りやすくなっていますね。ご覧のように坂の上の方にいるトラックが今止まっている状態です」 こちらでは、本格的な雪のシーズンを前に、雪で壊れた屋根の修理が始まっていました。 (アッキーハウス山田明弘代表)「この現場は(昨シーズンの)雪害で屋根が潰れてるんですよ。雪の重みで潰れているんです」 屋根を見ると、金属部分が歪み、穴が開いているのが分かります。しかし… (アッキーハウス山田明弘代表)「今はもう屋根を直せる状況じゃないんで、応急処置。コーキングとか、穴空いているところに詰めていくっていう」 修繕作業を阻む今回の雪。結局この日は、積もった雪を溶かしながら、穴を埋める応急的な作業しかできませんでした。 (修繕を依頼した家主)「やっぱり雨漏りとかね、屋根傷んじゃうと漏れてくるんでね。(雪が)完全に積もっちゃう前に今やってると思うんですけど、雪降っちゃったらね、仕事はやりにくいでしょう」 ■“異例”ドカ雪歴史ある名湯源泉は 豪雪地帯で知られる、山形県肘折温泉では… (寺久保倫記者)「山の奥に入るにつれて雪が降り始めてきました…」 おととい5日、肘折では最深積雪51センチを観測。温泉街は、本格的な冬の準備に追われていました。 (肘折温泉の住民)「例年から見るとちょっと早いですけど、雪囲いが終わっていない人もいますね」 1200年の歴史を持つ肘折温泉。昔ながらの湯治場として、広く観光客を癒してきた温泉郷です。雪の降る本格シーズンを前に、湯守と呼ばれる人々が、源泉や温泉を運ぶ配管などのメンテナンスを行っているといいます。30センチほど積もった雪を掻き分け、5つある源泉の1つへ… (肘折温泉の湯守大友久士さん)「これが5号源泉です。(湧出量は)多い時期ですと(毎分)1000リットルを超えることもありました。この樋から全て掃除します。3~4センチくらいの壁でこういうふうに固まって来るんですよ。これをこそぎ取るという」 配管が詰まらないように、温泉成分が付着し固まった『湯の花』を定期的に除去しなければなりません。こうしたメンテナンスは、源泉から温泉を引いている旅館まで行われるといいます。 (肘折温泉の湯守村井美一さん)「管全体の内側に付く感じで付着していくので、あまり放っておくと(湯の花が)どんどん厚くなってしまうので」 ■“異例”ドカ雪“豪雪夫婦”のウラ技 肘折温泉から東へ約6キロ。山間にある滝の沢集落へ向かうと… 自家用のショベルカーで雪かきをする佐藤さん、79歳。これから半年間、雪に閉ざされる準備に余念がありません。 (豪雪地帯に住む佐藤勝さん(79))「貯蔵」 Q.何ですかこれ? 「これ冬の食べ物。ほとんど漬物だ、タクアンとかカブ漬けとか、4月まで食う」 冬の間の保存食として、10個以上並べられた漬物樽… 2人暮らしの夫婦が春を迎えるまでの貴重な食料となります。 (佐藤勝さん)「雪が降ったらスーパーなんかあまり行けないから」 Q.冬になるとスーパー行くのは大変? 「大変だ、大変だ、命がけだよ、猛吹雪で、だいたい3メートル50~4メートルの雪積もるから…」 今年の秋は、自宅周辺にクマが出没。冬を前に、出歩くことが減ったという佐藤さん。本格的な雪のシーズン到来に… (佐藤勝さん)「適当に暮らしていれば、春来るから大丈夫だ。クマと同じ。もう冬眠に入るんだ、我々は…」 ■ドカ雪の原因は?東南アジア豪雨 例年より早いドカ雪。“今季最強の寒気”には、世界規模の気候変動が関わっていると、専門家は警鐘を鳴らします。 (三重大学地球環境学立花義裕教授)「今年は熱帯の、日本の真南の海面水温が高い現象があって、これはラニーニャ傾向なんですよね」 海面水温を見ると、南米付近の温度が低く、反対に東南アジア周辺に温度が高いところが集中。『ラニーニャ現象』の傾向がみられます。 (立花義裕教授)「日本でこれほどドカ雪が降ったというのは、実は東南アジアで大洪水が起こっていましたけれど、これと大きく関連しています」 インドネシア、タイ、スリランカなどで発生した“近年最悪の豪雨”。 (被災した人)「私たちは怖くて、みんな走って避難しました」 救助活動が行われているのは、一面、川のようになった町のなか。洪水や土砂崩れなどで、これまでに1600人以上の死亡が確認されています。 専門家は、この東南アジアの豪雨が、日本に『ドカ雪』を降らせた大きな要因だと指摘します。 (立花義裕教授)「東南アジア付近で強い積乱雲ができると、その積乱雲の上昇気流によって、偏西風を曲げるんですよね。蛇行が激しくなって北極の寒気がドーンと降りてくるわけですね」 ■感想!都心は“今世紀最小”降水量 蛇行する偏西風は、こんな“災害”にも… (小栗琴音アナウンサー)「先ほどから真っ赤な炎が上がっていて、辺りは煙に包まれています」 住宅など187棟を焼き、発生から17日目に鎮火した、大分市佐賀関の大規模火災。 そして、きょうも… 住宅の屋根から立ち上る真っ赤な炎。火災は住宅を全焼させ、住民の高齢者夫婦が死亡しました。 このところ相次いでいる“火災”。原因のひとつが“空気の乾燥”です。 9月から11月の降水量をみると、東日本と西日本の太平洋側を中心に、平年より少なくなっています。特に東京都心は、今世紀に入って最も少ない降水量。きのう6日まで20日間の合計は、平年のわずか1%です。 (立花義裕教授)「強い寒波が日本に来ると強風が吹くんですよ。そのときに大体日本海側でドカ雪が降って、太平洋側は乾燥するんですよ。当然それに伴う災害が起きる可能性があるわけですね」 “乾燥”は、思わぬ火災の原因にもなり得ます。 ガソリンスタンドで給油をしていた、その時…。給油口から吹き上がる激しい炎。“静電気”が原因とみられる火災の映像です。 これは静電気がガソリンから発生するガスに引火する瞬間を再現した実験映像。一瞬の火花から炎が広がっていくのが分かります。 こうした静電気が原因とみられる火災は、ガソリンスタンドなどの『危険物質施設火災』の22%以上を占めています。 (立花義裕教授)「今年の冬は海面水温も高いので、偏西風も蛇行しますから“極端な冬”になってきます。降る時にはドカ雪が降って強風が吹くような、それに伴う災害級の現象が起きると思いますが、そうじゃない日は暖冬傾向になるかもしれません」 12月7日『有働Times』より





