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“再エネ”最先端の島 「海の巨大風車」が回す未来

社会

01/23 22:30

▽海の巨大風車…地域経済を回せ 港から船を走らせること、20分。 (山口豊アナウンサー) 「目の前に、日本初の浮体式洋上風力が見えてきました。高さが海面上、およそ100mだそうです。海面に浮いています。」 これは日本で初めて実用化された浮体式の洋上風力発電です。海の上は、遮るものがなく、安定した強い風が吹き、騒音の心配もないと言います。 (戸田建設 浮体式洋上風力発電 佐藤郁 事業部長) 「これで2000キロワットの能力があります。一般家庭にすると、大体1800世帯から2000世帯分ぐらい。フル出力になると、あの辺りの街の方はみんなこの風車の電気で暮らしていることになります。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  長崎県五島市は、人口3万6000人。潜伏キリシタンの歴史で知られ、美しい海と豊かな自然に恵まれた大小63の島々からなっています。 実は、この五島市、必要な電力量の56%を“風力”や“太陽光”など自然の力を使って発電。日本全体の再エネ率20%を大きく上回る、再生可能エネルギーの先進地です。中でも、浮体式の洋上風力発電は日本にとって、大きな可能性を秘めています。 「魚がいますね。魚が。今、潜ってすぐなんですけど、この洋上風力の海中部分、柱のそばにいっぱい魚の群れですね。」 漁礁のように魚が集まっています。さらに深く潜ると―。 「(海面から)今74m。」 「あっ、見えましたね。」 「見えました?これですか。これ一番下ですね。」 「下です。」 「はっきりと浮いていることが分かります。」 「下の部分は(直径)7.8mありまして、」 「“おきあがりこぼし”みたいに、重心が下がっているので、絶対転覆しないです。」 台風の通り道にありながら、一度も倒れたことがない、“浮体式”。水深が深くても設置できるため、遠浅の海が少ない日本に合った、最先端の技術です。実際に利用可能なエネルギー量は莫大で、国内の総電力量の2.4倍に相当します。 政府は、“洋上風力”を再エネの主力電源化の「切り札」と位置付けています。五島市では、年内にも新たに8基投入できるよう、準備が進められています。 (戸田建設 浮体式洋上風力発電 佐藤郁 事業部長) 「たくさんつくって、安くしていく。まさに量産化。それが今我々に課せられた課題です。」 さらに― 「ちょうど島と島のあいだの奈留瀬戸が見えてきました。右から左にあたかも川のように、流れがあります。」 五島市では、潮の流れを利用する、最先端の“潮流発電”も進められています。 「船は、ちょうど潮流発電機が置かれている真上あたりにきています。かなり海も荒れてますよね。」 「難所です。」 「潮も速いし、一番ざわつく所ですから。」 この下40mにある潮流発電機。巨大な8mのブレードが潮の流れを受けて回り、100世帯分の電気を発電しています。 「ここ映っていますね。」 「こちらが今リアルタイムの発電機の様子でございます。」 「潮流発電の一番の特徴としましては、しっかり予測ができた、安定した発電量を見込めるというところでございます。」 潮流は、月と太陽の引力による潮の満ち引きが生み出す、海水の流れです。天体の動きと連動しているため、遠い未来まで予測ができると言います。 Q. 「風車ですと、風が吹かないと止まってしまうという問題があるじゃないですか。そこと比較するとどうですか。」 (九電みらいエナジー 平安山勝弘氏) 「例えば1年先、10年先、100年先のこの日の発電量も予測ができるものです。他の再エネが弱い部分、変動性がある部分をですね、こちら(潮流発電)で補完してですね、より良い再エネの発電システムを構築できると考えています。」
  五島の海で、“再エネ”が進むのは、漁業関係者の協力があってのことです。 (奈留町漁協 大久保金政組合長) 「高齢化と言いますか、どうしても漁民の方がだんだん減ってく状況なので、島全体が潤うようになってくれれば、本当に素晴らしいことなのかなと。」 地域経済が低迷し、高齢化と人口減少に苦しんできた、五島市。 そこで“再エネ”を最大限活用し、“島の経済”を活性化しようという挑戦が始まっています。 (五島市民電力 清瀧誠司会長) 「五島でできた電気を五島で使ってくださいというのが私どもの使命でございます。」 旗振り役の清瀧誠司さん、目指しているのは、電気の“地産地消”です。 『五島市民電力』では、五島で生まれた電気を仕入れて、五島の企業や住民に供給しています。電気を“地産地消”することで、「お金の流れが大きく変わる」と言います。 (五島市民電力 清瀧誠司会長) 「今までは、かなりの金額、大きな電力会社を通じて、(電気料金として)島外に出ていっていた。“再エネ”はそういうことないです。五島でできた(再エネの)電気は、五島の市民が買っていただいて、五島で経済を回す。」 「“油屋”だからこそ、敏感にわかるんですね。」 実は、清瀧さん、 長年ガソリンスタンドを経営してきました。 「この歳になりますので、“石炭”から“油”に変わる時の時代を見てきているんですよ。今度は“油”から“再生可能エネルギー”。 五島の経済は本当に変わりますよ。」 清瀧さんの呼びかけに応じて、100%“再エネ”の電気を使う、地元の企業も増え始めています。 (しまおう 山本善英社長) 「安心安全な電気を使って、“高付加価値”になり得る商品を作れるのかなと思いまして、」 魚だけでなく、電気も五島産にしたことで、ブランド力が高まったと言います。 「首都圏に営業に行って、こういう電気を使っていますと言ったら、『そんなことができるのか五島では』って。納品につながったところもあります。」 “再エネ”の普及が進み、島には、新たな仕事や雇用も生まれていました。 「まだまだあるな、これ。」 ここは使われなくなった風車の中。今は、地元のメンテナンス会社が新人の訓練施設として利用しています。 「は~、上がれた、よかったぁ。けっこうきついよ、これ。」 訓練は、さらに上でも―。 「うわぁ、今、風車の上にあがりました。うわぁ、すごいところに来てしまいました。やっぱり風車の上ですから、風が強いですね。ものすごく強い風を受けています。」 (イー・ウィンド 木戸康洋 常務) 「新人の方が入ってきた時、取り替える練習したり、」 Q. 「今こういうメンテナンスの仕事は増えてきているんですか?」 「かなり仕事は生まれていると思います。日本全国、依頼が来た所には行かせていただいています。」 この会社は、もともと建設会社でしたが、2008年に、風車のメンテナンスを請け負ったことを機に、業態を転換。今や社員は3人から、50人にまで増えました。 (地元出身の社員)「元々は農業をやっていて、まだまだこれから伸びる業種だと思いますので、自分でやっていても誇らしく思います。」 島の経済を回し始めた、“再生可能エネルギー”。今後、“浮体式”8基が追加されれば、五島市は、必要な電力量の80%を“再エネ”で発電できるようになります。 Q. 「日本は資源がないとずっと言われてきたが、どう思う?」 (五島市民電力 清瀧誠司会長) 「それは違いますよ。もう足元にあるんですよ、資源は。大事なことはもう行動ですよ。やる気と、行動。五島だけじゃない。どんなに山奥の村でも、海辺の街でも、活かそうと思えばですね、日本全国で同じことができると思います。」 1月23日『サンデーステーション』より

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