放送内容

被災者の声を聴く~八女市星野村 山口聖一さんその4

2020年02月19日

[番組で紹介した情報]

いのちを守る防災ラジオ、KBC防災解説委員の太田祐輔です。
山田優子です。
毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。
今日のテーマは「被災者の声を聴く~八女市星野村 山口聖一さんその4です」

2012年7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けた八女市星野村に住む山口聖一さんは現在 ボランティアなど地域支援活動を行うNPO法人「がんばりよるよ 星野村」の代表も務めています。
被災地にボランティアに行ったときにどういう意識を持っておけばいいのか。自らも被災経験のある山口さんに話をききました。


(山口)いつも言うのは、「被災者のみなさんの横に座ってなさい」っていうことです。
被災者のみなさんが口開くまでそばにいることが大事です。
「あれできますよ。これできますよ。これかたづけましょうか」って言っても、被災者は頭の中が真っ白で、なにやってもらってもいいかもわからないのです。
私も、被災した後に「いい加減、山口さんも畑の復旧をやろうよ」ってボランティアに来た方に言われたのですが、なかなか「先々この畑をどうしようか」って決められないし、なによりも考えられないのです。決めていないので、復旧したほうがいいのかわからない。だから、「この石をどけてください」とか言えないのです。
「被災者の人が口を開くまで、座ってなさい」っていうのは、単純に「被災者のそばにすわってなさい」ってことではなくて、そういう気持ちでいなさいってことです。
被災者のみなさんが口を開くってことは、自分である程度、方向性を見つけたってことなのです。それに対して支援していきなさいよってことなのです。
自分でこういうことをしようかって決められるまでは、支えになってあげることが大事です。

(太田)そこからやるべきことが始まったりもするのですね

(山口)熊本地震の時に、避難所の前にテーブルを置いて、別の場所でのボランティアの写真を見せながら、被災者の依頼を引き受けました。
その時に、最初にボランティアお願いしますって最初に来た方のニーズが、「うちの庭の木を切れますか?」っていう話だったのです。「切れますよ。どうしたのですか?」って聞いたら、「今度地震が来たら、坂のところにあるこの木が倒れて、近所の人の家に倒れ掛かって、被害がでる可能性があるから」という話でした。余震がずっと続いている中ですからね。「いいです」って言って、すぐにチェーンソー持って行って切りました。そういうやり取りをみていたら、そのあと「うちもこれを」ってその方の近所の住民からの話が出てくるのです。
それを見ていたら、やはり我々は「あれができますよ。これができますよ。あれをやりませんか」じゃなくて、被災者が「先々こうしていこう」って決められたら相談できるようにしておくことが大事だと思います。

(太田)イニシアティブは被災者のみなさんに持たせるというか、被災者のみなさんの心からのニーズに応えるということですね。

(山口)我々がもっているスキルはなんらかの形で見てもらうようにはしていて、そのうえで、そばにいて、そのニーズが出てくるのを待つことも大事なのです。


(山田)被災地に行ったら、ボランティアの人たちはとにかく何か動かなければと思いがちだと思います。そうではなくて被災者のそばに寄り添って、話を聞いたうえで動くことが大事なのですね。

●今日のポイント

今日のテーマは「被災者の声を聴く~八女市星野村 山口聖一さんその4」でした。
それでは今日のポイントを太田さん。お願いします。

来週も山口さんの声をお届けします。

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