放送内容

新型コロナ警戒下での避難について その1

2020年06月03日

[番組で紹介した情報]

「KBCラジオ みんなで防災!」KBC防災解説委員の太田祐輔です。
百市なるみ です。

毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

今日のテーマは「新型コロナ警戒下での避難について その1」です。

(防災教育が専門の)九州大学の杉本めぐみ准教授に自治体に避難所のコロナ対策でなにを求めるかについて聞きました。

(杉本准教授)避難所で三密を避けるというのは至難の業です。

自治体にはできるだけ浸水域にないホテルなどを確保して、 みんなが安心して避難生活を送れるような、家族単位で避難できるような体制を整えてほしいと個人的には考えています。

特に福岡県の場合は避難所のマニュアルの中に、ホテル等を勧める文言も入っています。ですので、できるだけ早く防災協定などを結んで、自治体にはできるだけホテルを確保していただきたいです。
そのほか、林間学校で使う公共の施設も今はコロナの関係で使わずに空いていたりします。できるだけ避難の選択肢を県や自治体で増やしていただいて、そういったところにぜひ安心して住民が過ごせるように進めていただければと考えます。

もし、それが難しければ次の段階になります。その時は出来るだけ今あるものをどう使うのかということだけではすみません。
コロナ警戒下の避難所の状況をシュミレーションすると、いままでの3倍のスペースが必要となってきます。

(太田)今のスペースよりも平均すると3倍のスペースが必要なのですね。

(杉本准教授)阪神大震災のあとに避難所では1人1畳ほどのスペースを確保するということが言われました。それだと1人1人のスペースが1メートルも空かないわけですね。
2 ・3 メートル寝るところのスペースを空けるとなると、やはり今考えられているスペースの3倍くらいは必要ではないかと考えられております。

(太田)あとトイレについても考えないといけないですよね。

(杉本准教授)やはりトイレのドアノブとかレバーとかは誰もが触るところです。そして、どういった形でコロナが感染するのか、空気感染なのか、汚物から感染するのかいろんな感染の形が考えられます。
そういった中で、できるだけ危険を避けるためには、災害弱者の方、擬似陽性の方そして疑いのない一般の方というように、最低三つぐらいトイレの場所も入口も含めて変えていただきたいと思っています。

その上でトイレについては、男性用と女性用がだいたい同じ数しかないという問題もあるのです。

女性はだいたい男性の3倍ぐらいの数が求められます。
座っている時間が長いとか、生理の問題というのもありますので、そういった意味で男女のジェンダーの配慮もした上で、対策を取っていただきたいと思います。

(太田)自治体が避難所を開ける基準について、これぐらいの雨だからここも開けようみたいな基準の見直しも、避難所のスペースの問題とも相まって必要になってきますよね。

(杉本准教授)はいその通りです。
ですから、今まで使っていなかった避難所を新たに設けるということになると思います。どこにその避難所があるかということを住民に初めて今回知らせる場合もあるわけですよね。今実際に自治体がその広報をしているというのはあまり聞いたことがありません。
できるだけ早く住民に知らせること。メディアなどと協力しながら、「ここに新しく開設されている」ということをできるだけ早く知らせていただきたいと思います。

●今日のポイント

(百市)杉本准教授は一番最初に「避難所で3密を避けるのは至難の業だ」とおっしゃいました。それが自分の胸に響きましたね。
それだけ難しいことをこれから迎える可能性があるということを、自治体だけでなく、住民である我々も考えて、新しい情報についていかなくてはいけませんよね。

今日のテーマは「新型コロナ警戒下での避難について その1」でした。
それでは今日のポイントを太田さんお願いします。

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