放送内容

九州大学杉本めぐみ先生が考える防災教育 前編

2020年07月01日

[番組で紹介した情報]

「KBCラジオ みんなで防災!」KBC防災解説委員の太田祐輔です。
百市なるみです。

毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。
今日のテーマは「九州大学杉本めぐみ先生が考える防災教育 前編」です。
(防災教育が専門の)九州大学の杉本めぐみ准教授に九州大学で行われている防災教育についてお話しを聞きました。

(太田)杉本先生は2017年度から3年にわたって、九州大学で防災をテーマにした講演会を開かれました。どういう内容の講座だったのでしょうか?

(杉本准教授)これは文理問わず「総合防災」のオムニバス講義として開講しております。医学部、工学部、文学部の先生といった多様な専門家たちが、この講義で学生の命を守るためにぜひ伝えたいということを語ってくれています。

(太田)総合大学ですから、「防災」というテーマでいろんな学部の専門家が話をしてくれるのですね。一般の方も聴講することができたということですが。

(杉本准教授)そうです。できるだけ学生だけでなく、地域のみんなでこういった防災の知識を共有したいという願いもありまして、公開講座にしております。

(太田)フィールドワークでいろんな場所に行かれたということですが、どういったところに実際にいったのでしょうか

(杉本准教授)これまで3か所に行っています。まず熊本地震の被災地です。そして阿蘇山の実習です。これは京都大学の阿蘇火山センターの先生にお願いして世話人になっていただきました。その他に、2017年に起きました九州豪雨で大きな被害が出た朝倉にいきました。この朝倉という地域は九州大学にとっても大変重要な地域で、被災地支援することを求められていました。
その地域に学生もぜひ一緒に連れて行きたいと考え、朝倉実習を継続しています。特にここでは仮設住宅の中で被災者の方と学生持ってきた非常食のコンテストをして、被災者の方に「どの学生が持ってきた非常食がいいか」一票ずつ投票していただく非常食コンテストというのも実施しました。そのような活動により被災者と学生の交流を深めることもできました。

(太田)そういったコンテストを通して、本音レベルで話してもらうきっかけにもなり、それは学生の防災意識を高める大きなきっかけになりますよね。
そしてその授業を「九州の防災~熊本地震からあなたの身の守り方を学ぶ」という一冊の本にまとめられました。
この本はどういう内容でしょうか

(杉本准教授)この授業は15名の先生方のオムニバス講義だったのですが、被災地に実際に行って被災者の方に寄り添う支援をやってきた方だけをセレクトして、その内容をこの一冊の本にまとめています。
具体的には地震が起きた後、温泉が枯れてしまう事例がありました。それをどうやって湯元を見つけ再度掘りなおして復旧したかといった事例を、湯元を見つけた地震学者の先生に執筆していただきました。また仮設住宅のみんなの家という公共のパブリックスペースにおいて学生を含めて一緒に仮設住宅の住環境を整えるという支援をしたグループの活動などもまとめています。

(太田)この本については、販売はされていないのですが、図書館などに行くと確認することができるということですね。

(杉本准教授)その通りです。今回是非リスナーの方にもこの本を知っていただきたいと思いましたので、3冊是非プレゼントしたいと思っております。

★今日のポイント

(百市)「九州大学の学生が非常食のコンテストを通じて、被災者の方と交流する」これは防災について考える貴重な機会で、こういう機会を通じて学生の防災レベルというのはぐっと上がっていくと思いました。

今日のテーマは「九州大学杉本めぐみ先生が考える防災教育 前編」でした。

それでは今日のポイントを太田さんお願いします。

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