放送内容

防災カードゲーム クロスロードとは その1

2021年01月20日

[番組で紹介した情報]

「KBCラジオ みんなで防災!」KBC防災解説委員の太田祐輔です。
百市なるみです。
毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

先週から6週にわたって災害支援活動を展開しているNPO法人福岡被災地前進支援の理事長 わが家の災害対応ワークショップ認定講師でもある吉田 敦(よしだ あつし)さんに話を聞いています。
今日は福岡被災地前進支援が普及に努めている「防災カードゲーム クロスロードとは その1」です。


(吉田さん)クロスロードというのは災害の現場で様々起きるジレンマを題材にしたカードゲームです。
例えば「3000人いる避難所で2000人分の食料を確保しました。この食料を今配りますか、配りませんか」という設問があります。どちらを選んでも何かしらの犠牲を払わなければいけないような悩ましい事例を問題として出します。
参加された方は自分なりに理由を考えて、配布するならYES、配布しないならNOのカードを選んで頂きます。そして選んだカードを裏返しにしてテーブルの中央にもってきて、出題者の合図で一斉にそのカードをオープンします。
そしてYESが多かったのかNOが多かったのか多数派の人が青座布団という点数札を獲得するというゲームです。青座布団の配布が終わりましたら、 Yes または No をそれぞれが選んだ理由を参加者が順番に説明をしていきます。
そうすることによって、他の人の自分とは違う価値観とか視点に出会うことができるゲームになります。そして何問か出題をしまして最後に一番多くの座布団を持っていた人が勝ちというゲームなのです。
ゲームの題名になっているクロスロードという言葉は「進路を決めなくてはいけない分かれ道」という意味と「人と人が出会う場所」という2つの意味があります。
このクロスロードは災害を自分の身に引き寄せて考えると同時に他の人の様々な考えを知ることができる大変優れたゲームだと思います。

(太田)少数意見を尊重するためのルールもありますよね

(吉田さん)そうですね。基本は5人参加してもらって、3対2になれば多数派の3人の方が青座布団をもらうというルールです。でももし4対1になったら、実は4人の方ではなくて少数意見を出した1人に金座布団という別の御札を差し上げて、こちらの方が勝ちという考え方を取ります。
多数意見が必ずしも正しいわけではなくて、少数意見にも耳を傾けましょうという考え方ですね。
少数意見でも、堂々と主張してくださいという意味が込められています。

(太田)他にはどういうお題があるのですか

(吉田さん)例えば「いま夜中の12時です。今避難勧告が出ました。家族は自分と妻と子供とそれから高齢の母親がいます。家は川沿いにあります。夜中の12時で川沿い。小さい子供と年寄りを抱えて今から避難しますか。それともしませんか」いうお題もあります。
参加者の年齢とか性別とか職業とか属性が違っていれば違っているほど、多様な意見や考え方が出てきます。
人の意見を聞くことによって「気づき」がいっぱいもらえるという意味でも、このクロスロードは非常に優れたゲームだと思います。

【今日のポイント】

(百市)このクロスロードの中身を聞いた段階で、そうか災害時ってそんなケースがあるのだと気づいて、考えるきっかけになりました。災害がより身近に感じられますよね。
あと、少数の意見だと災害時ってSOSを出す際に躊躇してしまいがちですよね。
でもこのゲームにある一人の意見が尊重されるという部分で、伝えていいのだという勇気をもらえる気がしました。

NPO法人福岡被災地前進支援の理事長 吉田 敦(よしだ あつし)さんに防災カードゲーム クロスロードについて話を聞きました。

それでは今日のポイント 太田さんお願いします。

来週はクロスロードにはどのような設問があるのか、話を聞きます。

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