放送内容

2020年度の災害を振り返る 今教訓にすべきこと その2

2021年04月14日

[番組で紹介した情報]

「KBCラジオ みんなで防災!」KBC防災解説委員の太田祐輔です。

百市なるみ です。
毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

今日のテーマ「2020年度の災害を振り返る 今教訓にすべきこと その2」です。

防災教育が専門の九州大学の杉本めぐみ准教授に昨年7月の大牟田市の水害について話を聞きました。

この水害では高齢者2人の命が失われました。 またこの番組でも紹介した大牟田市立みなと小学校では大勢の子どもたちが 学校に取り残され不安な夜を過ごしました。

(杉本)大牟田市は防災ラジオの役割を果たすコミュニティFM局があったり、 事前にコロナ禍での避難所の点検をしたりと非常に前向きに取り組んでいました。コロナ禍にどう住民を受け入れるのかの準備もしていたのです。 ところが、あまりにも広域な災害となり避難所に人が殺到してしまいました。
そしてコロナのために、いつもよりも多くの避難所を用意したつもりだったのに、それでも足りなくなってしまいました。
そのために体育館が足りずに避難者を別の場所に移動してもらうことや検温せずに避難所の中に入れざるを得なかったという失敗もありました。

そして特にみなと小学校についてです。水害においては垂直避難をしなければならないということは絶対分かっていて1階建ての体育館では垂直避難はできません。それにもかかわらず体育館で過ごしていて浸水がひどくなってきたので校舎に戻るということになりました。

2017年九州北部豪雨の朝倉市比良松中学校でも同様なことが起きています。
これは絶対に止めなければなりません。

必ず水害において避難場所は一階建ての建物にしないということを福岡県内の小学校・中学校の避難所についてチェックしていただきたいと思います。

(太田)みなと小学校の場合、最初は親御さんが迎えに来てっていうことも想定して最初体育館に集まったっていう話ですけども、やはり避難所として利用するのであれば2階以上の垂直避難できる建物じゃないといけないということですね。

(杉本)そのとおりです。
大牟田市に関して評価したい点があります。
それは隣接する熊本県荒尾市のホテルも無料で一時避難所として認めたことです。これは政府から補助金があっただけでなく自治体独自の他県のホテルを避難所として認めるというのは画期的なことでした。

コロナ禍におけるけがの功名で血の通った自治体の判断だと言えます。

これまで私たち災害の研究者は、雑魚寝をしている体育館が感染症などを考慮すると非常に危険だということを何度も繰り返して言ってきました。
コロナ禍においてホテル避難を一時避難場所として認めたということは非常に画期的な取り組みだったと考えています。
性的ハラスメントも防げます。コロナの対策の防疫にもなります。
そして家族単位でホテルの1室という安全なところに住めるというところことは非常に重要なポイントになっています。

是非他の自治体もこの教訓に学んで取り組んでいただきたいと思っています。


(太田)コロナ禍の避難も今年が2年目ということになります。
各自治体がその大牟田市の例というのを教訓にしていかなきゃいけない出水期が間もなく始まります。

(杉本)ぜひ大牟田市の良い点悪い点、そして先進的な面、いろいろな側面があります。それをしっかりとみて、福岡県内の自治体も真似して取り組んでいただきたいし、地域の住民についても、できることにぜひ取り組んでいただければと思います。

【今日のポイント】

(百市)お話を聞くと、今ある避難所の見直しというのが、必要になってくるのかなと思いました。
それと同時に、避難する側の私たちも従来言われている避難所が確実に安全ではない、ちょっと自分自身ももう1回自分の避難エリアの避難所を見直して、身を守る手段を見つめなおさないといけないと感じました。

今日のテーマは「2020年度の災害を振り返る 今教訓にすべきこと その②
7月の大牟田市での水害を振り返りました

それでは今日のポイントを太田さんお願いします。

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