放送内容

顕著な大雨に関する情報(線状降水帯情報)について 前編

2021年08月04日

[番組で紹介した情報]

「KBCラジオ みんなで防災!」KBC解説委員の太田祐輔です。 百市なるみです。
毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

今日のテーマは「顕著な大雨に関する情報(線状降水帯情報)について 前編」です。

今年6月から気象台から新しい情報「顕著な大雨に関する情報」が出されるようになりました。これは「線状降水帯」による大雨の危険度を伝えるものです。

気象庁ホームページより

この「顕著な大雨に関する情報」について、福岡管区気象台の重松防災係員に伺います。

(重松さん)毎年のように線状降水帯による顕著な大雨が発生し、数多くの甚大な災害が生じています。この線状降水帯による大雨が、災害発生の危険度の高まりにつながるものとして社会に浸透しつつあり、線状降水帯による大雨が発生している場合は、危機感を高めるためにそれを知らせてほしいという要望があったからです。

(太田)そもそも線状降水帯というのはどういうものなのでしょうか?

(重松さん)次々と発生・発達する積乱雲が数時間にわたってほぼ同じ場所を通過、または停滞することで作り出された、強い降水を伴う線状の雨域を線状降水帯といいます。

(太田)どういった形で情報は出されるのでしょうか?

(重松さん)線状降水帯の情報は、「顕著な大雨に関する気象情報」という情報名で発表します。
全国を対象とした「全般気象情報」、九州北部地方等を対象とした「地方気象情報」、福岡県等を対象とした「府県気象情報」の3パターンでお伝えしており、府県気象情報のイメージとしては、「〇〇地方では、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています。命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっています」といった内容で発表することになります。
また気象庁ホームぺージでは、どこに線状降水帯が発生しているのかを「雨雲の動き」や「今後の雨」の情報とともに、気象レーダーの画像などに重ね合わせて、線状降水帯の領域を赤線の楕円で囲んで表示します。

(太田)発表される基準を教えてください

(重松さん)1つ目は、雨雲域が線状降水帯の特徴でもある線状に連なっていることです。2つ目は、アメダスや気象レーダーにより解析される降水量について、一定基準以上の降水量と、その広がりについても一定基準を満たしていること。
そして、3つ目は、大雨によって土砂災害や洪水害などの危険度について、すでに極めて危険な状況(警戒レベルでは4相当以上)となっていることなどが発表される条件となります。

(太田)去年7月の熊本県球磨川沿いの水害の時にこの情報が出されるようになっていたとしたら、どのタイミングでこの情報が出されたとシミュレーションされているのでしょうか?

(重松さん)同じエリアが対象で、再度基準を超えても、3時間以内は新たな情報は発表しないなどの条件はあるのですが、去年7月の球磨川沿いの災害では、午前2時台から、対象地域を変えながら、5回にわたって発表されているというシミュレーションになっています。

(太田)去年の球磨川沿いの災害では午前4時50分に大雨特別警報が出されています。
それよりも前に避難に結びつくような情報が出されていたということになるわけですね。

(重松さん)そうです。

(百市)今年もすでに「線状降水帯情報」というのは出ていますよね。
この「線状降水帯」と聞くと、甚大な被害をもたらすというイメージが私たちにもあると思います。だからこそ、「線状降水帯情報」というのが、どういう情報なのかを、正しく知っておかないと命を守る行動をとることができないですよね。

(太田)自治体から避難指示などが出されている前提ではありますが、ただこれは、出されている状況下では、災害が発生していてもおかしくない、それぐらいの情報なのでやはり感度よく対応する必要があります。

(百市)今日は「顕著な大雨に関する情報(線状降水帯情報)について 前編」をお送りしました。
それでは今日のポイントを太田さんお願いします。

来週は「顕著な大雨に関する情報」が出されたら、どういう行動をとればいいのかをさらに考えます。

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