『10年ぶりの平年値改定。気候変動の影響は?』
2021年05月15日
第45回目の放送は『10年ぶりの平年値改定。気候変動の影響は?』
SDGsの目標との関係は…
目標13『気候変動に具体的な対策を』
第3土曜日は、
“お天気の視点”から、KBCお天気センター岡 雄介さんにお伺いします。
今度の水曜日(5/19)から天気予報でよく聞く「平年値」が改定されます。
平年値とはなんなのか、なぜ改定するのかというお話です。
♦平年値とは
平年値とは、その時々の気温や降水量、日照時間等の気象要素や、
冷夏や暖冬、少雨や多雨といった気候要素について
それらを評価する基準として利用されると共に、その地点の気候を表す値として用いられる統計データです。
現在使われている平年値は、1981年から2010年までの30年間の平均値。
そして、これらの平年値は長期的な変動などが反映されるように、10年ごとに新しく更新されています。
昨年が2020年でしたから、前回から10年分後ろにずらして、
1991年から2020年までの30年間の平均値が新平年値として来週更新されます。
新平年値はほぼ「平成の平均値」と言えます。
♦10年ずれた事で起こる変化
まず、年平均気温の平年値は、全国的に0.1~0.5度上昇。
また、降水量の平年値も、夏の西日本や秋・冬の太平洋側の多くの地点で10%程度多くなります。
さらに、30度を超える真夏日の年間日数は多くの地点で3日以上増加し、
逆に最低気温が0度以下の冬日は多くの地点で2日以上減少します。
より細かく福岡のデータを見てみると、年平均気温は前回から0.3度上昇、年降水量は5%増加し、
特に8月の降水量は前回から22%も増加することになりました。
また、真夏日は3.3日、猛暑日は2.6日増加するなど、顕著に気温が上がっています。
さらに福岡では、前回の平年値から年間の降雪量が半減します。
♦温暖化の影響?
長期的な気温や降水量の変化について、温暖化が原因と一概には言えません。
地球の気温というのは長期的に変化をすることもありますし、
場所によってはヒートアイランド現象のような都市化の影響を除外できない場合もあります。
ただ、逆に温暖化の影響が排除できないことや、都市だけでなく全国的に上昇を見せていることからも、
温暖化の影響を否定することはできません。
♦温暖化対策が必要!
ただ、温暖化対策と言葉では簡単に言えますが具体的に考えるのは難しい問題です。
ここで一つの考えを紹介しようと思います。
気候学者たちのこれまでの膨大な研究により、「地球温暖化」は紛れもない事実であり、
現在進行形の問題であるということが示されています。
そして、進行するものを元に戻すことは不可能です。
ここで重要な考えが「緩和と適応」。
まずは、温室効果ガスの削減などによる温暖化の緩和。
つまりスピードを緩めるということです。そしてもう一つが適応です。
つまり我々が現状に争わず、適応していくということです。
暑いからクーラーをガンガンにということではなく、できる限り薄着で過ごしたり(クールビズ)、
冷感インナーや冷感寝具で暑さを緩和したりするなどです。
また、建物を風の通りやすい設計にしたり、オフィスや交通機関に人が密集しないように
テレワークを推進したりと、暑い環境に適応する策は様々存在します。
こういったことが、難なく簡単にできる、もっと身近な温暖化対策と言えるのでしょう。