STORY
KBCの舞台裏日々の放送を支えている、電波に乗らないたくさんのこと

秋風が吹くとジャズに染まる街が、福岡にある。ビルが立ち並ぶ都会の真ん中に約10か所のステージが現れ、街はフェス会場へと姿を変える。九州一の歓楽街を舞台に完全無料で行われるジャズフェス、それが「中洲ジャズ」だ。10万人が訪れるこのイベントも、2020年はオンラインでの開催となった。さて、特番の行方は――。
「今年は特番をするのか、しないのか」
夏の“山笠”、冬の“クリスマスマーケット”など、KBCは福岡を代表する季節の風物詩に紐づいた特別番組を制作していますが、「中洲ジャズ」もその一つ。
福岡の秋の風物詩として、九州一の歓楽街「中洲」がジャズ一色に染まる、今年で12年目を迎えるイベントです。しかし例によってコロナの影響で野外イベントは中止に…。
イベントにあわせて毎年特番をやっていたKBCとして、「今年は特番をするのか、しないのか。」そういった所からのスタートでした。

中洲ジャズ2019の様子。
番組を作ることになった一番の理由は、『いま大変な思いをしている中洲や福岡の人を少しでも元気づけたい』というスタッフ満場一致の思いです。連日暗いニュースが続く中、“ジャズの音”で誰かの背中を押せるような番組に、そして“中洲ジャズ”という文化の灯を消してはいけないという思いを、番組タイトル『ジャズの音を止めるな』に込めました。

ジャズに縁のない視聴者に伝わる企画を
とは言うものの、普段から音楽は好きなんですがジャズに関してはほとんど聴いたことがないド素人。中洲ジャズの存在はもちろん知ってはいましたが、イベントも通りかかったことがあるくらいで、恥ずかしながら行った事すらありませんでした。ただ、知れば知るほど魅力が溢れるのが中洲ジャズ。そこで、「自分のようなジャズに縁のなかった視聴者にどうすれば魅力が伝わるか」という視点で番組企画を考えました。
過去の名場面はもちろん、中洲名物の川下りの船にピアノを浮かべて、今年大ヒットした「夜に駆ける」をジャズアレンジで弾いてもらったり、ジャズナンバーに乗せて今の中洲の風景を切り取ったり、コロナの影響で多くの舞台を失ってしまった吹奏楽の名門「精華女子」3年生によるジャズの名曲の演奏など、渾身の企画ができたなと思います。

ジェイコブ・コーラーさん 夜景×JAZZ。
放送まで残り1か月、コロナに阻まれるロケ
1時間の特番を作るとき、だいたい3ヶ月前から企画を考え始め、2ヶ月前からロケや編集などを経て放送へ…というスケジュールで動くことが多いですが、いざロケを始めようとした放送1ヶ月前、コロナのせいで関係各所の都合が悉くずれてしまい、ロケが始められないという事態に……!ようやく準備が整ったときには、放送まで残り約2週間。いつもは2ヶ月かけてやる作業を2週間でしないと間に合わない…今では笑い話ですが、当時は震え上がりました(笑)。ロケをしてそのまますぐ編集、明け方までに何とか形になって出来たてほやほやのVTRで、そのままスタジオ収録…みたいな感じで。
ディレクターの方々には本当に負担をかけてしまいましたが、いい番組にしたいという思いがあったから、全員で乗り越えられたかなと感じています。他局のことは知りませんが、KBCのそういう時の底力はすごいなと思うことが入社してから本当に多いです。
OAを終えたときはもちろん、格別の達成感でした。このメンバーでやれてよかったなと、一緒に頑張ってくれたスタッフに心から感謝です。

ゲストには西内まりやさんとShihoさん。
ここまで番組プロデューサーとしていろいろと書きましたが、実は今いる部署は営業部門のいわゆる内勤のデスクなんです。この番組に関しても、時には外勤営業マンとCM枠のセールスに行き、デスクとして売り上げ管理なども行っていました。番組制作に関してそこまでやらなくてもいい立場だったんですが、自分が関わるからには納得するものを作りたいという思いが強く、わがまま言っていろいろとさせてもらいました(笑)。フォローしてくださった同じ部署の先輩方や、セールスを頑張ってくれた外勤営業マンの頑張りを肌で感じながらの番組制作となり、自分にとっても大切な番組になりました。
この文章を書く今も、新型コロナウイルスが収まらない日々が続いていますが、今度の秋は中洲にジャズの音が響く日が来ることを心より祈っています。

文 中間雄大 / 総合営業本部
2013年入社。中洲JAZZ 2020特別編『ジャズの音を止めるな』プロデューサー。
テレビ制作部で『アサデス。』『ドォーモ』『シリタカ!』等のディレクターを務めた後、番組戦略部でプロデューサー経験を積み、2020年7月に総合営業本部へ。趣味はチアリーディング。
掲載日:2020.12.11