KBCの舞台裏

激動の朝鮮半島 ソウル特派員を終えて掲載:2018年3月

前ANNソウル支局特派員 西村 香織
前ANNソウル支局特派員西村 香織(1992年入社)

ここまでサプライズ続きの3年10カ月になるとは正直想像もしていませんでした。
赴任直後の「セウォル号沈没事故」は私の特派員としての原点です。初めて朴槿恵前大統領をこの目で見たのも沈没現場近くの港でした。行方不明者の家族からの罵声に、朴前大統領は国の責任を口にしましたが、あの事故が韓国初の大統領罷免につながるとは…。
北朝鮮の核・ミサイルへの対応にも追われ続けました。明け方に発射の一報を受けた支局長が自宅で電話中継をしている間に私が急いで出社し、朝番組の中継をするという日が何度あったことでしょう。その朝鮮半島の緊張状態から一転、対話局面に向かうとは…。
慰安婦関連など日韓に横たわる問題の解決は一筋縄ではいかず、関係が改善するかと思いきやどん底まで落ち、両国関係がガラス細工のように壊れやすいことも実感しました。

写真 大統領弾劾への動きを伝える筆者

ただ「反日感情が強く生活が大変じゃない?」とよく聞かれたことに関しては、私自身はむしろ親切にしてもらった記憶がほとんどです。日本人と韓国人は顔が似ていて気質は全く異なります。『違い』を認めることを大切にしていたら、個人同士では心が通じ合えたように思います。外交問題を肴に爆弾酒(韓国焼酎のビール割り)を毎晩のように酌み交わしたのも一生の思い出です。
今後も予測不可能な朝鮮半島でしょうが、少し離れた福岡から見続けていきます。

写真 “家族”のようなソウル支局メンバー