放送内容

地方の救世主 AIオンデマンドバスはとってもエコ!

2021年07月16日

[ラジオ 水と緑関連記事]

アサデス。ラジオ(モーニング)

近藤アナ・岡田アナ・早川さんの金曜トリオ!!

水と緑week のアサデス。ラジオ(モーニング)は、6:40頃からのコーナー「フォーカスイン」が
水と緑スペシャルに!アサデスラジオのコメンテーターが、ふるさとや環境、SDGsをキーワードに、日替わりで”ためになる話”をお届けします。

7月16日(金)の担当:KBC解説委員 早川裕章さん
『 地方の救世主 AIオンデマンドバスはとってもエコ! 』

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▼早川さんが着目したのは「運輸部門のCO2削減」

 日本国内のCO2(二酸化炭素)総排出量のうち、“運輸関係”が2割弱を占めています。
 運輸部門とは自動車や船などのこと指すんですが・・・
 この運輸部門のCO2排出量のうち半分弱がマイカーから出るもので、国全体の排出量の約1割を占めているんです。
 「地球温暖化防止=CO2排出量減」の世界的なトレンドの中、自動車メーカーや交通事業者・行政だけでなく、私たち市民も努めていかなければなりませんね。


▼マイカー関連で私たち市民が取り組みやすいことは??

 今マイカーを使って移動している生活の場面を、バスや電車など公共交通に変えることデス!(少しずつ・・・まずは月に1回でも!)

 マイカーからバスに変えると、CO2排出量は6割減るし、鉄道に変えると1/7に減るんです!
 「目的地まで車で行かずに、最寄駅まで車~その先は電車で」ということをパークアンドライドと言うのですが、
 行政が駅の駐車場代を補助するなどの効果もあり、徐々に浸透してきています。


▼さぁ!早川さんは「AI活用型オンデマンドバス」を紹介

 地域の生活圏で走り始めている「AI活用型オンデマンドバス」。
 (オンデマンドバスとは…出発地、目的地、時間など利用者のニーズに応じて運行する形態のバス。これに人工知能AIが搭載されている!)

 福岡県内では5市町村で導入されています。
 福岡都市圏では西鉄が運行する「のるーと」が有名で、アイランドシティ・西区の壱岐南校区(木の葉モール)・宗像市日の里に導入されています。


▼壱岐南校区や日の里に「のるーと」が導入された理由

 いずれも高齢化が進んだ丘陵地にある住宅地です。(壱岐南は高齢化率37%←福岡県の平均より約7%高い)
 路線バスは走っているんですが「バス停まで遠くて歩けない」という声や、
 運転できる間はいいが免許を返して送迎者がいなくなったらどうやって病院に行く?という将来の不安が地域の中で共有されて、
 西鉄と新しい生活の足=公共交通をつくる協議が始まったみたいです。
 まずは、2km四方の住宅地に1時間に1本・1日10便の“循環型バス”を走らせました。
 しかし利用客が減って採算が取れないなどの理由で「のるーと」に転換したみたいです。

 なぜ循環バスは客が減ったのか・・・循環バスには弱点があります。
 「バスに乗る利用者は、目的地に最短距離で行きたいですが、
 循環バスはあらかじめ決められたルートとバス停を回るので、目的地に着くまで時間がかかる。」という点です。


▼「のるーと」だと目的地に早く到着する!

 これまで、壱岐南の循環バスは1周50分。乗客は15~25分乗っていたそうです。
 これが「のるーと」が導入されると、乗車時間が3分の1に短縮されました。(7~10分)

 「のるーと」に乗りたいと思い立って予約してからの待ち時間は平均16分ですが、だいたいは9~10分。
 それくらいで車が来て7~8分で目的地に着く・・・思い立って20分で目的地に到着します。
 これまでのように、1時間に1本のバスを待って30分近くバスに乗っていた頃に比べると、相当利便性は高まったと言えます。


▼「のるーと」を具体的に教えて!

 仕組みは難しくありません!(例)通院先の病院から帰宅する例
 ・利用客が電話やアプリで、病院で乗車したい時間と、降りるバス停(ミーティングポイント・MP)を予約する
 ・そうすると、アプリでも電話でも「のる-と」が来る時間を知らせてくれる
 ・指定された時間に病院の前のMPに行くと「のるーと」がやってきて家の近くのMPまで送ってくれる

 バス停(MP:ミーティングポイント)は循環バス時代の22→37に増えました。
 木の葉モールがある橋本駅のほか、公民館や病院、コンビニやスーパー・量販店の前、住宅地の普通の路上にMPがあります。
 MPは毎月地元との会議を踏まえ今後も見直しが行われるそうです。

 「のるーと」にはハイエースなどの10人乗りワゴンが使われています。
 利用客は8人まで。壱岐南の運行エリアは傾斜地の住宅地で狭い道や急坂もありますが、ミニバンなので小道もすいすい抜けていきます。

 ★ポイント!
  路線バスは渋滞を避けられないが「のるーと」はAIが最適なルートを作るので渋滞を避けられる。

 運賃について・・・
 「壱岐南のるーと」は大人300円。子ども半額。同じエリア内を走る普通の路線バスの運賃170円よりは高いですが、初乗り570円のタクシーに比べると安いんです。
 運行時間は、毎日午前8:30~18:30。西鉄なのでニモカは使えるし、アブリも意外と簡単。
 早川さんが乗車した際は、2回とも利用客が早川さん1人だったので超お得に感じたようです(笑) 

 しかし!オンデマンドバスはわかり易く言うと「乗合タクシー」なので、
 他の人も乗ってくるし自分の意に添わぬ方向に遠回りが前提です。
 「タクシーに近いというより乗合バスの進化系」と考えたら相当お得に感じると思います。


▼実際どのくらいの人が利用している?

 壱岐南はコロナ禍の「外出自粛モード」の中で去年6月に船出したこともあり苦戦しました。
 5月の平日平均は21人で日曜は8人。高齢者のために開発されたので、アプリだけでなく電話予約も受けているので“コロナの出口”が見えると利用は増えていくとみられます。


▼実際CO2削減の点からはどうなの??

 移動をマイカーからバスに変えることでCO2排出量が4割に減ることがまずありますね。
 西鉄によりますと、壱岐南の「のるーと」転換前の循環型ミニバスは1日に1000km走っていましたが、「のるーと」転換後は1日700kmと3割減ったようです。
 つまり3割ガソリンを使わない=CO2を減らす効果があった=路線バスよりオンデマンドバスが地球環境にやさしいと証明できたのではないでしょうか!?


 利用客のリクエストがあった時・あった場所だけを走るピストン輸送なので、ムダな走りがありません。
 高齢化時代の“生活の足”として生まれた「のるーと」が、実は地球環境保護の側面でもとっても効果を上げています!!

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