南極には、あの「タロ・ジロ」のほかにも…。 ~愛のオーロラ~
2020年03月26日
[アサコレ!コラム]
日本映画の金字塔『南極物語(約59億円の配給収入は当時の日本映画最高記録)』での「タロとジロの奇跡」で知られる昭和基地に“三匹目の犬”がいたってご存じでしたか?
極寒の地に置き去りにされた樺太犬タロとジロを1年後の1959(昭和34)年に現地で保護したのは南極越冬隊員で、現在は九州大名誉教授の北村泰一(きたむら・たいいち/88)さんでした。映画『南極物語』では渡瀬恒彦さんが演じた方ですね。
当時、越冬隊員として犬の訓練や世話を担当していた北村さんは、その後(82年)、さらに1匹の樺太犬の亡きがらが見つかったことを知ります。
昭和基地を出発する前、犬たちの首輪をきつく締めたことを後悔し続けた北村さんは「氷雪に埋もれたほかの犬にも光を当ててやりたい」と調査を始めますが、ご病気のために調査は中断してしまいます。
ところが、おととし2018年になって、元西日本新聞記者・嘉悦洋(かえつ・ひろし/68)さんが、タロとジロが生き延びた理由や他の犬たちの話を聞きたいと、北村さんを訪ねたことで再び調査が進み、本の執筆がはじまりました。
お2人はさまざまな資料や証言を分析し、タロとジロと行動を共にした3匹目の犬が、リーダー格の「リキ」であったことや幼い2匹に生き延びるすべを教えたであろうという結論に行き着き、ノンフィクション作品『その犬の名を誰も知らない』として出版されることになったのです。
あれだけ有名なエピソードでも、半世紀たって新たな裏話が出てくるものだな~と感心した次第です。
M『愛のオーロラ』荻野目慶子
犬の飼い主役で3シーンのみ出演した女優の荻野目慶子さんは、映画PRのキャンペーンガールも務めました。
↓『その犬の名を誰も知らない(1,650円)』小学館集英社プロダクション刊の詳しい情報は下記URLまで。