街路樹の銀杏のほかにも“イチョウ”があって…。 ~いちょう並木のセレナーデ~
2020年12月15日
[アサコレ!コラム]
12月に入り、福岡市中央区の昭和通り沿いにあるイチョウ並木は素晴らしい黄色に色づいて今が盛り。落葉が始まったところは“黄色い絨毯”を敷いたようになっています。
今年、福岡のイチョウの葉っぱが黄色に変わるのが平年より21日も遅かったため、この時期まで楽しめることとなりました。
一方で、同じ「イチョウはイチョウ」でも相撲の土俵を彩る力士のまげの「大銀杏(おおいちょう)」は厳しい状況なのをご存じでしたか?
新弟子を除けば、横綱まで六百人以上いる力士の皆さんは武士と同じまげを結っていますが、イチョウの葉のように見える大銀杏は、十両以上の関取だけの特権。
長い髪を固めて整えるびん付け油と、根元を縛る紙製のひも…「元結(もとゆい)」が欠かせません。
その元結は、紙をよって強度をつけていきますが、“手作り”する現役の職人さんは89歳の川瀬栄作さんただ一人だけだったんですね。
最近は映画や時代劇の注文が減り、需要は相撲や歌舞伎の世界に限られてしまったため、川瀬さんは引退の決断をしました。
そうなると手作りの元結は在庫限りで、あとは機械で作るものだけになってしまいそうです。
びん付け油の方も例外ではなく、昭和40年代には4、5軒あった専門店も日本髪の需要が減ったため、東京都江戸川区の島田商店一軒だけが力士用の製造を一手に担っています。
それも新型コロナの影響で本場所が中止になったこともあって、びん付け油の消費が落ち込み、経営の不安すら感じているとのことでした。
街を彩るイチョウの華やかさにくらべ、場所ごとにあれだけ注目を集める大相撲のイチョウがそんなことになっているなんて意外に思った次第です。
M『いちょう並木のセレナーデ』原田知世
いや~オリジナルは小沢健二さんですね。そちらは1994年リリースのアルバム『LIFE(ライフ)』に収録されています。
※このコーナーは、日々報じられる数多くのニュースの中からピックアップした話題を再構成しています。