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アサコレ!コラム

ニセモノはニセモノでも、世の中の役に立っているニセモノもあるんです。 ~fake star~

2021年01月14日

[アサコレ!コラム]

 製薬会社の「プラセボ製薬」という会社をご存じでしょうか?あまり聞いたことがありませんが、インターネットを通じて売っているのは「偽薬(ぎやく)」…見かけは白い錠剤ですが、薬効成分がまったくない「偽(にせ)の薬」なんです。

 ことと次第によってはたいへんなことになりますが、社長の水口直樹さん(33)は、もちろんまっとうな経営者でいらっしゃいます。

 「偽薬」を扱う事業を滋賀県大津市で始めて5年の水口社長は、京都大学大学院で薬学を学び、製薬会社に就職した人物。

 新薬の効果を確かめるための比較試験で使う偽の薬…「プラセボ」と呼ばれる偽薬を一般向けに売ることを思いつきます。「病は気から」という言葉がありますが、偽の薬でも効果を感じることは実際にあるため「薬に頼りすぎる社会を変えられるかもしれない」と考えたそうです。

 社内会議で張り切って説明しましたが、やっぱり「製薬会社の役割ではない」と一蹴されてしまい、それなら自分でやってみようと独立したわけです。

 厚生労働省によれば、薬局で5種類以上の薬を出される人は75歳以上の患者で4割に達します。薬品の種類が増えれば副作用のリスクも増し、薬が効かない耐性菌の問題も、軽い症状でも抗菌薬を多く使うことが原因のひとつです。

 30錠で税込み999円(一錠33円)の偽の薬の正体は、ほぼ糖とカルシウムでできていて、法律上は食品になります。では、それはどんな時に使われるのか?
 
 認知症で薬を飲んだことを忘れてしまい何度も求める高齢者の方に介護の現場で活用されているとのことでした。

 M『fake star』平井堅

 いや~そんな活用法の「偽モノの薬」は存在価値がありますが「偽モノの音楽」はいやですよね~。

 ※このコーナーは、日々報じられる数多くのニュースの中からピックアップした話題を再構成しています。

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