自治体からの避難情報を考える~レベル4 避難指示 後半
2021年07月07日
[番組で紹介した情報]
「KBCラジオ みんなで防災!」KBC解説委員の太田祐輔です。
百市なるみ です。
毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。
今日のテーマ「自治体からの避難情報を考える~レベル4 避難指示 後半」です。
5月20日に災害対策基本法が改正されて、災害時に自治体から出される避難情報が変わりました。
去年までは「避難勧告」と「避難指示(緊急)」と2つの情報が含まれていた警戒レベル4は「避難勧告」が廃止され、「避難指示」だけに一本化されました。
このレベル4の情報が自治体から出されたら、どういう行動をとるべきなのかを考えます。
(百市さん)まずは先週のおさらいをします。先週は「警戒レベル4の避難指示は危険な場所からの全員避難。すぐに安全な場所にとどまる、あるいは移動する避難行動をとらないといけない。」という話でした。
(太田)そうです。それと過去の例を見ても、レベル4になってから、急激に状況が悪化することがあることもお伝えしましたね。
去年の大牟田市の例では、7月の雨の際、避難勧告が出されておよそ1時間後にすでに災害が発生している状況と考えられる大雨特別警報が出されました。
レベル4になったらすみやかに行動しなくてはいけないということでした。
(百市さん)このレベル4の段階では安全に避難行動をすることができると考えていいのでしょうか?
(太田)残念ながら、急激に状況が悪化していることも想定しておかないといけないと思います。
過去の大雨による災害では、
「道路が冠水して足元が見えなかった。」
「道路上の水の流れが速くて移動が難しかった。」
「崖くずれや、土砂崩れが起きている道路を通らなければ移動できなかった。」
「立往生した車があり、危険を感じた」などの証言がありました。
必ずしも「安全に」避難できる状況ではない場合もあることを忘れないようにしてください。
水が入り込む状況になると足を取られる長靴ではなく、運動靴で移動する、地面を確かめるために傘を杖替わりにする、そもそも冠水している道路でなるべく避ける、など気を付けながら、安全な場所に移動するようにしてください。
ベストの避難先が避難所だとしても、そこまで行くのが危険な場合は、それに次ぐ「セカンドベスト」の場所への移動も考える必要があります。
それともう一つ、この番組でレベル3の「高齢者等避難」を紹介したときに話しましたが、車による避難は、このレベル4の段階ではかなり危険です。
車で避難しようとして、冠水している道路を走行中に、マフラーから水が入り、立ち往生し、そのあと急激に増水し、車から脱出できなかった例、川沿いの道を車で避難して、車ごと堤防を越えてきた水に流されそうになった例などがあります。
レベル4での車による避難は危険な場合があるので、レベル3の段階で行うようにしてください。
やむを得ず、このレベル4の段階で車を利用する場合は、川沿いや土地が低い場所、冠水している道路などはむやみに進まず迂回してください。
(百市さん)レベル4の避難指示について、ほかに知っておいたほうがいいことはありますか?
(太田)レベル4の前段階で、レベル3の高齢者等避難があるわけですが、いきなり避難指示になる場合もありますし、レベル3の高齢者等避難の段階で逃げていなかった高齢者なども周りにいらっしゃるかもしれません。
近所の人が声をかけあって避難や危険を呼びかけるなどして、一緒に行動することを考えてください。
それと、これはレベル4の避難指示だけではなく、レベル3の高齢者等避難とも共通していることなのですが、去年の球磨川の水害の時は夜中に状況が急激に悪化しましたよね。周りの状況を把握するのが難しい夜間の避難は大変危険です。
ですから避難情報を出す自治体は、夜間に雨が激しくなることが想定される場合には、まだ明るいうちに避難情報が出すことがあります。
その場合は、実感としてまだあまり雨が降っていない状況で避難情報が出される場合もあるということになります。
各自治体は、気象台とのホットラインなどを使い、熟慮したうえで避難情報をだします。
今の雨の降り方だけで判断せずに、避難情報が出たら、その指示にしたがうようにしてください。
(百市さん)急激に状況が変わることがあるレベル4だからこそ、避難所にたどり着けないことを想定して、セカンドベストも考えておくということも大切なのですね。
今日は「自治体からの避難情報を考える~レベル4 避難指示 後半」をお送りしました。
今日のポイントを太田さんお願いします。