放送内容

台風シーズンに警戒が必要 高潮について 前編

2022年09月21日

[番組で紹介した情報]

「KBCラジオ みんなで防災!」KBC防災解説委員の太田祐輔です。
百市なるみです。
毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

今日のテーマは「台風シーズンに警戒が必要 高潮について 前編」です。

(太田)なるみちゃんは「高潮」というとどういうイメージがありますか?

(百市)一度この番組でも取り上げましたよね。海面がグッと持ち上がって、そのまま堤防を越えて、浸水被害、かなり大きな被害になる印象があります。

(太田)台風で気圧が低い状態で、満潮と重なるなどして海水面が上がり、沿岸部に海水が押し寄せて甚大な被害をもたらすものです。
これまでの大きな被害をあげると、昭和34年の伊勢湾台風で、この高潮による被害で国土交通省の資料によると5098人に死者・行方不明者が出ています。

(百市)九州での被害例もあるのですか?

(太田)昭和20年の枕崎台風では、3122人の死者行方不明者、平成11年には台風18号により4.5メートルの海面上昇で八代海で13人の死者行方不明者が出たと言われています。
その高潮について、今週と来週の2週にわたってお送りします。

まずは高潮が発生する仕組みです。
気圧を表す単位でヘクトパスカルというのがあります。
台風の際にはこれが1000を切ることが多いのですが、そのヘクトパスカルが1変化すると海面が1センチ変化すると言われています。

(百市)例えば1000ヘクトパスカルから950ヘクトパスカルに変化した場合は50cm水面があがるということですか。

(太田)その通りです。昭和9年に日本を襲った室戸台風では、中心気圧は900ヘクトパスカルでした。その場合は1000ヘクトパスカルの時と比較すると1メートル海面が上昇することになります。
これが台風による「海面の吸い上げ」効果ということになります。

(百市)1mって、かなり大きいですよね。

(太田)そしてこの海面の上昇については、通常の潮の満ち引きというのも大きく影響します。有明海では最大で6メートル以上の潮の満ち引きの差があるということですが、台風の接近が大潮の満潮の時に重なった場合、海面は大きく上昇してしまうことになります。

(百市)台風が近づいた時には、この潮の満ち引きを確認することも必要ですね。
ほかに高潮の原因になるものは何があるのでしょうか?

(太田)海面の「吸い上げ」効果をご紹介しました。それともう一つが「吹き寄せ」効果です。

(百市)台風による風の影響ですね。

(太田)そうです。台風の勢力面の条件は10分間平均の最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。

(太田)その猛烈な風が海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられて、海岸付近の海面が異常に上昇します。津波などでもそうですが、狭い湾内に風が押し寄せる場合にはよりこの吹き寄せ効果が増すことになります。

(百市)これまでの被害では、この「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」でどれぐらいの海面上昇があったのでしょうか

(太田)平成11年の熊本県八代海の高潮被害では、4.5メートルの海面上昇があったという記録があります。その時は「洗面器の底」のように周りよりも低い集落に海水が堤防を越えて押し寄せ、わずか10分ほどの間に、1階建て建物の屋根にまで海水が達したということです。住民に避難を呼びかけるスピーカーがあったそうですが、強風で飛ばされて、役に立たなかったということも言われています。

(百市)怖いですね。その高潮に私たちはどう備えればいいのでしょうか?

(太田)それを来週のこの時間、福岡県内で予想されている高潮の被害想定とともにお送りします。

(百市)KBCラジオ みんなで防災 
今週は「台風シーズンに警戒が必要 高潮について 前編」をお送りしました。

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