放送内容

流域治水について考える その7

2024年02月21日

[番組で紹介した情報]

(太田)「KBCラジオ みんなで防災!」KBC解説委員の太田祐輔です。

(百市)百市なるみです。

(太田)毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

(百市)今週は「流域治水について考える その7」をお送りします。

(太田)気候変動により水害が激甚化するなかでの対応策として注目されています「流域治水」についてお送りしています。

(百市)河川流域に関するあらゆる関係者が協働して災害対策を行うという考え方ですよね。

(太田)その「流域治水」の第一人者で熊本県立大学共通教育センター 緑の流域治水研究室の 島谷 幸宏(しまたにゆきひろ)特別教授にお話を伺っています。
熊本県が取り組んでいる「流域治水」のターゲットの一つに「豊かな環境と恵みある暮らし」があります。治水と豊かな環境や恵みある暮らし、どうかかわっているのでしょうか?

(島谷)基本的に「 治水」っていうのは、洪水防御だって言ったのですけど、元々、「治水」っていうのは水を治めるということなのですね。水を治めるってどういう意味かというと、洪水を防ぎながらその水を使って豊かな暮らしをするという、「恵みのマネジメント」と「リスクのマネジメント」
一緒にやるのが「治水」なんですよ。水を治めるということなので。
だから、本来の「治水」に戻していくということがとても大切で、水を治めるっていうのは、当然 安全にするだけじゃなくて、そこからの水の恵みももらわないと本当に豊かな暮らしはできなくて、我が国は やっぱり稲作を中心に発展してきましたから、稲自体が氾濫する場所に生える植物であり、かつ恵みを私たちにもたらすということになるのです。
そういう長い歴史の中で日本人に身についているものなのですね。
それがやっぱり行政システムがきっちりしていく中で、「治水」は国土交通省、利水は農水省とか経産省とか厚生省に分かれていくという歴史があったのですけど、これだけ大きな洪水があるから、また一緒にして、恵みとリスクのマネジメントを同時にやりましょうというのが、「流域治水」の一番根本的に重要なことなのですね。

(太田)河川をコンクリートで固めて水の流れをある程度おさえるっていう考え方じゃもう追いつかないし。

(島谷)そうです。早く水を流して安全になれば、結局負担はまた下流にいくということが繰り返されるわけですから、それがよくわからなかったのだけど、この気候変動でこれだけ大きい雨が降るとそういうことが見えてくるわけですね。専門家でもですね、本当にこういう状況になるとはですね想像していなかったわけです。私たち子供の時はまだ、たくさん水たまりがあってですね、道路も舗装されてないし、田んぼもほとんど土の用水路だったし。
日本全土がこんなになるなんて思ってもみなかったわけですね。
だけど、日本人の真面目さで積み重ねてくるとあらゆる場所から水が一気に流れてくるという国土が出来上がったわけです。
ただ、この真面目さを逆に利用してですね、あらゆる場所を少しずつ水がゆっくり流れて、自然に水が染み込むようにすれば、次の世代には洪水が少しは軽減できるようになるのではないかと考えているということなのですね。

(百市)確かに言われてみると、昔は水たまりに足をちゃぷちゃぷしたら泥だらけになっていましたよね。自分の娘が雨降った時に水たまりで遊びたいと言っても、長靴に泥がつくことがないのですよね。あっそうか、こんなに変わっているのだとハッとさせられましたが、でも雨水って悪いことだけじゃなく、恵みになっていることがある。リスクと恵みの両方をとると、もっと視野が広がるなと感じました。

(太田)「安全」だけではなく、恩恵を受けるというところまで含めて考えることで 「縦割りではない」防災とか「持続可能な」防災に結びついていくわけですね。

(百市)KBCラジオみんなで防災
今週は「流域治水について考える その7」をお送りしました。

太田さん、来週は?

(太田)地域でどう防災に取り組んで行くべきかを伺っています。

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