放送内容

日本赤十字社の活動について~能登半島地震 その3

2024年05月22日

[番組で紹介した情報]

(太田)「KBCラジオ みんなで防災!」KBC解説委員の太田祐輔です。

(百市)百市なるみです。

(太田)毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

(百市)今日のテーマは 「日本赤十字社の活動について~能登半島地震 その3」です。 今月5月は赤十字運動月間です。 災害時にいち早く現地に駆け付け、救護活動に重要な役割を 果たしている日本赤十字社の活動について4回にわたってお送りしています。

(太田)今年1月1日に最大震度7を観測するマグニチュード7・6の地震が石川県の能登半島で発生し、甚大な被害が発生しました。
日本赤十字社福岡県支部でもすぐに現地にスタッフを派遣し、救護活動を展開しています。
今日は福岡赤十字病院の医師で、第3班の班長として能登半島地震の現場に派遣された松田圭央(まつだ かおう)さんにお話を伺います。

(松田)我々の活動自体は、医療班ですね、医師、看護師、それから薬剤師、そして事務調整をする事務員っていう7名体制で、1つの医療チームとして動いていました。
その中でだいたい七尾市を中心とした避難所のアセスメント活動をしておりました。私たちが計画をしてというよりは 日赤の石川県支部から能登の総合病院に建てられた指揮場がありますので、その場所のコーディネーターの「こういう場所に行ってこういう情報を集めてきなさい」という指示に従い巡回をします。
その中で私たちは医療班ですから、医師の視点を持って傷病者がいないかどうか、それから感染リスクなどがないか、そして今後発生しそうな医療ニーズがないかっていうことを中心に現地で働いてきたような感じです。

金沢市内の駅に着いた時に被災者の方ではないのですけれども、1人の男性が近寄ってこられて、私たちがおそらく能登に行く日赤の救護班っていうことがわかったのだと思うのですが、その方が「僕は現地に行って何かすることはできないのですけれども、彼らのために僕たちの代わりに支援をよろしくお願いします」っていう風なことをおっしゃっていただいたのが、一番印象に残っていますね。
現地の方はやはり非常に我慢強くて、わがままを言ってはいけないっていう方が非常に多かったです。実際、被災されていて制限もあってストレスもあるだろうに、私たちの方に向かって「来てくれてありがとうね」「そんな九州から来てくれたの」っていう風に、まず自分のこの大変な状況よりも、まず私たちが赴いたっていうことを歓迎してくれて、ねぎらいの言葉をかけてくれるっていうのも、非常に印象的でした。

我々は、医療班として行ってはいるのですが、実際に避難所におられるのは傷病者ではなくって、基本的には生活者です。その方達といろいろお話するわけです。
病気のこととか怪我のこととか体調のことだけを聞くわけじゃないのですが、私たちは普段から体のこと、体調のことを聞きながら、いろんなその背景にある不安とか気になっておられることを聞き出すのにすごく慣れているし、体をこう触って「何とかですね」って話しかけるのに非常に抵抗がない職業なので、そういう意味ではあちらも自分の体のことを話しながら、その奥にある不安であるとかそういうことを吐露してくれる場面はすごく多いではないかと感じましたね。

(百市)みんなが大変なのだと。
わがままを言えない、我慢強くいる被災者の方々のお話。でもそういったときに、1対1で向き合って声をかけてくれて、寄り添ってもらえるってことがきっと孤独感も取り除いてくれますし、また普段の医療ケアとは違った接し方、細かな配慮も感じられて、多くの方々が本当に救われているのだろうなと思いました。

(太田)心を解きほぐすプロがいち早く現地に行く尊さみたいなものを感じますね。

(百市)きょうのテーマは「日本赤十字社の活動について~能登半島地震 その3」でした。
このような日本赤十字社の活動は、みなさんからの寄付によって成り立っています。寄付の方法など詳しくは、
日本赤十字社のホームページをご覧ください。

日本赤十字社HP https://www.jrc.or.jp/

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