放送内容

線状降水帯について考える その1

2024年06月05日

[番組で紹介した情報]

(太田)「KBCラジオ みんなで防災!」KBC解説委員の太田祐輔です。

(百市)百市なるみです。

(太田)毎週この時間は、あなたの命を守る防災について考えていきます。

(百市)今日のテーマ「線状降水帯について考える その1」です。

(太田)これから梅雨末期の7月にかけて、全国各地で大きな災害を毎年のようにもたらしている線状降水帯について考えていきたいと思います。

(百市)線状降水帯って、いつごろから言われるようになったのですか。

(太田)気象庁気象研究所によりますと、1998年から2003年にかけて行われた「梅雨期九州での線状の降水システム」という研究に携わった研究者がこの「線状降水帯」という言葉を使いだしたそうです。

(百市)ということは九州の雨の降り方の研究から「線状降水帯」という言葉が生まれたというわけですね。

(太田)そうです。決して名誉なことではありませんが、警戒をしなくてはならないという意味合いで言いますと、九州は「線状降水帯」という言葉が誕生した場所」とも言えるわけです。

そして気象台の公式な報道発表の場で最初に、「線状降水帯」という言葉が使われたのが2011年7月に発生した新潟・福島豪雨になります。
9時間で500ミリ以上の雨が降りましたが、この豪雨の発生5日後の8月4日の会見で、「線状降水帯と」いう言葉が使われました。
ただその時はまだ、「バックビルディング型」の積乱雲という表現が中心で、線状降水帯は「言葉」として出てきたもののという感じでした。
盛んにいわれるようになったのはいつごろだと思います?

(百市)2017年の九州豪雨の時には、もう「線状降水帯」という言葉は使われていましたよね。

(太田)そうです。2014年8月の広島県での豪雨災害って、百市さん記憶にありますか?

(百市)広島市で起きた災害ですよね。
たしか安佐北区と阿佐南区のかなり狭い範囲で発生したのを覚えています。

(太田)そうです。あの時、3時間降水量は200ミリを超え、同時多発的に大規模な土石流が発生。
広島市災害対策本部のまとめでは、土砂災害166か所(うち土石流107か所、がけ崩れ59か所)が発生して、記録によると77人の人が亡くなったとされています。

その時の気象台の会見のテーマが「平成26年8月20日の広島市での大雨の発生要因~線状降水帯の停滞と豊後水道での水蒸気の蓄積~」ということで、会見の副題にもなっているぐらい、線状降水帯という言葉がクローズアップされるようになりました。

そしてその後、会見でも警戒を呼び掛けるときの文言として、「線状降水帯」が盛んに使われるようになりました。
そして2017年には新語・流行語大賞にもノミネートされたということで世間的にも広く認知されたということになります。

(百市)いまではこの時期よく聞くようになりましたし、全国的にいつどこで使われるかもわからない状態ですけれども、もともとこの九州で雨の降り方の研究から「線状降水帯」という言葉が生まれた、やっぱりそれだけ九州にいる私達も意識を高く、危機感を持っていなければいけないなと思いました。

(太田)そしてこの線状降水帯は今年も私たちが住む九州北部に大きな影響を与える可能性があります。

(百市)KBCラジオ みんなで防災 今週は「線状降水帯について考える その1」をお送りしました。
太田さん来週は?

(太田)「線状降水帯」はどういう現象なのかをお伝えします。

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