放送内容

『飼い主がいない犬の命を守ろう!』

2022年05月14日

第94回目の放送は『飼い主がいない犬の命を守ろう!』

SDGsの目標との関係は…
目標12 (SE)『 つくる責任 つかう責任 』
目標15 (SE)『 陸の豊かさも守ろう 』です。


今日は、今週10日火曜日に、糸島市にオープンした
飼主のいないワンちゃんの保護施設
「Club31 -クラブサーティーワン-」を運営されている
社会や環境の問題解決に取り組む団体 マイグローバルゴールズ 代表で
俳優の栗山 航(くりやま・わたる)さんにお話を聞きました。


◆糸島のどのあたりにオープンされたんですか?

糸島市の二丈福井というところにある深江海水浴場のビーチ沿いにございます。
二丈地区は福岡県の最西端にあり、福岡市とイカやウニで有名な
佐賀県唐津市を結んだルートのちょうど真ん中にあたります。
施設の目の前にはビーチが広がっており、夕日が水平線に落ちてゆく場所で、
ワンちゃんたちが海を眺めながら過ごせるようになっています。
天神から電車で来られる場合は、施設まで約1時間です。
最寄り駅からは歩いて10分から15分で着きます。
車で来られる場合は施設まで30分程度です。


◆福岡の犬の殺処分の現状は、全国的に見てどうなのでしょう?

令和2年度の統計では、福岡市では104頭の犬が収容され、
実質的な殺処分は0頭でした。
重篤な病気等やむを得ない理由で殺処分された犬は6頭でした。
全国では保健所やセンターに持ち込まれる等して収容された犬は29635頭、
そのうち殺処分された犬は4059頭でした。
福岡県では長らく殺処分数が全国ワーストでした。
しかしここ10年で、その数はおよそ9割減少し、令和元年度からは
福岡市独自のパートナーシップ店制度や譲渡サポート店制度など
様々な取り組みのおかげで、やむを得ない理由での殺処分を除いた殺処分数は
ゼロが続いています。しかしこのような取り組みが行われながらも
まだ引き取り屋や、飼い主の高齢化により飼育困難になるなど問題は残っており、
すべての命を救えていないのが現状です。
大きなことや多くのことはできませんが、わたしたちにできるかたちで
ワンちゃんたちのサポートをしていきたいと思い、
保護施設「Club31」をスタートすることを決めました。


◆飼い主のいないワンちゃんを保護するとのことですが、
 まず、どのような形で保護されるんでしょうか?

ワンちゃんの保護活動、というと保健所からの引き取りが従来メインなのですが、
わたしたちは保健所に行く手前の段階からのフォローも必要と考えます。
飼い主が高齢になったため飼うのが難しい、子供が犬アレルギーになった、など
飼育放棄などのマイナスの理由ではないケースも増加しています。
そのような場合に、現在の飼主様とお話させていただいた上で、
わたしたちが引き取り、糸島市の海の見える施設で過ごします。
引き取り、というとマイナスなイメージもありますが、
お預かりした後でも、当施設にワンちゃんに会いに来ることも可能ですので
飼い主の方にとっても、ワンちゃんにとっても
より良い生活となる選択肢のひとつになれれば、と思っています。


◆保護されたあと、どうやって育てていくんでしょう?
 新たな飼い主を見つけるんですか?
 
施設で働く、飼育管理の資格を持ったスタッフなどで育てます。
ボランティアの皆様のご協力も多くいただきありがたい状態なのですが、
わたしたちは給料を貰って働くスタッフが多くなる団体にしたいと考えています。
私もそうですが、スタッフの中にはお給料を貰わずに毎日活動するスタッフもいます。
ただそうなると生活に余裕のある人や、ワンちゃんが好きな人など
少数の方しか活動ができなくなり、差し伸べる手が少なくなります。
多くの個人の方がワンちゃんを助けたい一心で、すべて自費で自宅で
数頭飼育されたりしておりその方々の負担が大きすぎる、と思っています。
ワンちゃんたちを助けたい。何かできることはないか。と考える方々に、
わたしたちがきっかけとなり、サポーター制度、というかたちで保護活動を
皆様からサポートしていただき、保護活動に特化していきたいと考えます。
また、お預かりしたお金はすべて保護活動の費用に充てられます。


◆栗山さんは俳優をされていらっしゃる…
 そんななか、なぜこういった社会や環境の問題解決に関する活動をし、
 この施設を作ろうと思われたんですか?

2020年のマスク不足で、役者仲間とマスク寄付の活動を行った際に
社会活動貢献活動により強い興味を持ったことがきっかけです。
そんななかで、同じ志を持った仲間とマイグローバルゴールズを立ち上げました。
SDGsの普及活動を中心に活動を行う中、
無理なく継続的にやれる活動は何かを考えたときに、
家族を大切にしていこうということでした。
犬が好きで、飼っていた犬が保護犬だったこともあり、
殺処分の実態を知ったときに、
命の灯が消えかかった犬たちをどうにか救いたいと思いました。
自分が動くことでこの実態を変えていくんだとの決意で、
今回の施設の立ち上げを決めました。



◆オープンして今日でまだ5日目ではありますが、反応はいかがでしょう?
 
予想より多くの方から支援をしたい、このような活動に協力したい、
とのお声をいただいており、びっくりしていると共に、
これまでやってきたことが間違っていなかったのかな、と自信にもなりました。
併設したカフェがワンちゃんの同伴が可能なので、多くのワンちゃんにも
遊びに来ていただいております。
オートミールやオーツミルクを使用した、デザートワッフルも女性の方からも好評で、
デートやご家族の休日にもご利用いただいております。
Instagramも更新しておりますのでお時間ある際にご覧いただけると幸いです。


◆飼育困難になってきている、あるいは飼い主がいなくて困っている犬が
 近くにいるという方はどうすれば良いのですか?
 そして、我々ができる支援は?

飼主のいないワンちゃんや飼主を探されている方は、
個人・法人を問わずわたしたちまでご連絡ください。
”クラブ31 糸島” と検索していただき、ホームページからお問合せいただくか、
施設でのご相談も可能です。
当施設のサポーター制度では、1日約100円からの支援が可能です。
ご不明な点等ございましたらお気軽にご連絡ください。


◆今後の展望や目標は?

この施設と活動を、犬の保護の新しいモデルにしたいと思っています。
先ほどのお話と重複しますが、現状個人で保護活動されている方々の負担が
あまりにも大きく、苦労をされている姿をみてきました。
誰かが誰かの犠牲になるのではなく、人と犬が共に暮らし、
ワンちゃんが尊重され幸せに暮らせる環境を創り続けるのがわたしたちの目標です。

過去の放送内容