知られざる交流秘話も!町と世界をつなぐブラジル名誉市民や平和のシンボル ~ふるさとWish水巻町~
福岡県北部に位置し、人口およそ2万8千人の水巻町。県内で4番目に小さい町は、かつて炭鉱町として栄えていました。現在の町の特産品は、この時季、収穫真っただ中の「でかにんにく」。ホクホクとした食感が人気なのだそう。
2019年6月4日(火)に放送された、九州朝日放送の情報番組「アサデス。KBC」の人気コーナー「聞き込み!アサデス。旅行社」では、そんな水巻町に「外国っぽいスポット」があるということで、アメリカ出身のリポーター・ボビーが訪ねました。
コーヒーがもたらした“国際交流”
まず向かったのは、水巻町にできたばかりの新スポット「イコット!ミズマキ」内にあるコーヒー店「ウィンドファーム」。ここに一体、どんな外国とのつながりがあるのでしょうか。ボビーが店主の中村 隆市さんにお話を聞きました。
「私自身が有機農業をやっていたことから、国外のコーヒー産地へ行って有機栽培の方法を勧めてまわったんです」と教えてくれた中村さん。実は、環境に優しいコーヒーの有機栽培を世界で普及させたとして、コーヒーの世界では有名人。お店にはその過程で出合った、ブラジルやエクアドル・グアテマラ・東ティモールなどから直接仕入れたコーヒー豆が並んでいます。
さらに、コーヒー農家が災害で被害を受けた際には、水巻町民の有志で復旧の手伝いに行くなど、その功績が称えられブラジルのマッシャード市の名誉市民にも任命されたそう。今では毎年、消費者と交流するために外国のコーヒー生産者が水巻町を訪れているそうで、これは確かにものすごい外国とのつながりです!
“オランダ風”タワーがある水巻町図書館
他にも、水巻町には外国との交流があるということで、町の人に聞き込みを続けるボビー。すると、多くの方が「オランダ」というワードを口にします。9000キロも離れたオランダと、水巻町に一体どのようなつながりがあるのでしょうか…?
聞き込みを受けてボビーが向かったのは、水巻町図書館。そこでボビーの目に飛び込んできたのは、緑の斜面にある西洋風のタワーでした。これは図書館へとつながるエレベーターで、実際にオランダにあるタワーを模して造られたそう。
水巻町に続く、オランダと日本の交流
しかし、なぜ水巻町にこのような建物が造られたのか?そして、なぜオランダなのか?その理由を、長年オランダ交流のボランティアを務めている黒河 英利さんに伺いました。
黒河さんが案内してくれたのは、「十字架の塔」。実は第二次世界大戦中、水巻町にあった炭鉱で約800人ものオランダ人捕虜が労働を強いられていたといいます。その捕虜の1人、ドルフ・ウィンクラー氏が戦後、水巻町を訪れたことから平和を願う場所として、この十字架の塔がつくられたそう。今では、水巻町の平和のシンボルとして大切な存在となっています。
当初ウィンクラー氏は日本人に心を閉ざしていたそうですが、次第に町民と交流するようになり、いつしか水巻町は日本とオランダの友好の場に。戦争の痛ましい歴史と向き合い、続けてきた交流が水巻町に異国の風をもたらしていたのです。今回の取材では、「向き合いづらい歴史があるからこそ、交流が生まれているのでは」と、ボビーも感慨深い様子でした。
オーガニックカフェ「ウインドファーム」で世界から集まったおいしいコーヒーを堪能するのもよし、水巻町図書館や十字架の塔を訪れてオランダと日本の交流や平和について学ぶのもよし。あなたもぜひ、水巻町の国際色豊かなスポットへ行ってみませんか?
※この記事は2019年の情報です。変更している可能性があります。事前にご確認ください。