み~んな笑顔に!町が支える新しい子育て支援のカタチ~ふるさとWish志免町~
とある金曜。たくさんの親子が集まり、ワイワイと楽しそうに夕飯を囲んでいます。
「おいしい!」、「いつも来てるよ。家で食べるよりデザートがいっぱいあるから」と笑顔満開で話す子どもたちの横には、ニコニコ顔のお母さんやお父さんの姿。これは、毎月第4金曜に開催される「みんなの居場所 いこうや」の一場面です。
みんなの居場所に…町が支える子育て
「いこうや」は、志免町の子どもたちが安心して過ごせる居場所を、と作られた子育て支援。子どもだけでなく、お年寄りや地域の大人も一緒に食卓を囲んで、楽しいひと時を過ごしてほしいと、運営もご飯の調理も志免町のボランティアが行っています。
会場では、開催の2時間以上前から、提供するご飯の準備が始まります。「いこうや」の代表・松井通代さんも80食分のゴボウのささがきを作ります。「冷凍食品のささがきもいただくんですけど、今日は炊き込みご飯に使うので、小さめにしたくって…大きくなっちゃったのは、当たりってことで」と笑顔を浮かべつつも、テキパキ作業する松井さん。「いこうや」ができたのは、そんな松井さんが民生委員と交わした会話がきっかけだといいます。「子どもたちが問題を抱えてるよ、大変だよねという言葉から始まって、子どもたちが楽しく過ごせる居場所があったらいいよねと。当時、子ども食堂がどんどん注目されていた時期というものあって、じゃあ作ろう!と思い立ちました」と松井さんは当時を振り返ります。
それから3年。「いこうや」の会場には、たくさんの子どもや親が温かいご飯を囲み、和やかな時間を楽しむようになりました。
「お母さんたちは働く時間もさまざまで、ご飯が作れない人も多いんです。スナック菓子がご飯がわりになっているかと思うと切ないから、私たちができるならと参加しています」、「家庭でやっていることの延長で、特別なことをしているわけではないし」と、ボランティアに参加している人々の「寄り添い」こそが、「いこうや」の原動力なのです。
志免町には、こうした子育て支援のNPOやボランティアが、15団体ほど存在しています。「子育て支援コミュニティおおきな木」は、子どもたちが自由な遊びの時間を過ごせるプレーパークの実施を中心に、「子ども支援・子育て支援」を行っている団体。また、県内でも珍しい中高生のための居場所「リリーフ」は、志免町に住む、中学生以上18歳以下の中高生を対象に、”安心できる居場所”を目指して、年末年始を除いて毎日開館しています。リリーフの理事長を務める百田英子さんは、「地域の人も、子どもを気に掛けているけれど、どう関わっていいのか分からないと思います。そうした声を代表して、私たちが子どもたちの居場所づくりをしていきたい」と語ります。
どうしてこれほど活発に子育て支援が行わているのか―。その理由の一つは、子どもの人口。深刻な少子化が進む中、志免町では0歳~17歳の子どもが増加傾向にあります。利便性や住環境の良さから子育て世代が「住みやすい街」として注目し、実際に移住してくるケースが多く、子どもの人口が増えていると考えられています。
また、志免町子育て支援課・藤田和博課長は、「虐待や子どもの悲しい事件が耳に入ってくる中で、子どもを見守る必要があるという機運も高まってきているのではないでしょうか」といいます。そうした高まりを大切に、地域や団体と共同して子育て支援を進めていきたいと、言葉をつなげました。町の未来を担う子どもたちを育み、支えていこうという「町の在り方」が、子どもたちへの「寄り添い」を活性化しているようです。
実際、“地域のみんなで温かいご飯を囲もう!”という「いこうや」に賛同し、さまざまな支援が寄せられています。
「グリーンコープ」は、組合員から毎月100円を集めた福祉連帯基金の一部を寄付し、使用する食材の大半を無償で提供しています。「こちらが立てた献立に合わせて全部用意していただいているんですよ」と話す松井さんの横で、グリーンコープ南地域理事長の砥上叔子さんは、「組合員には、子育て支援をしたくても実行に移せないという人もいて、私たちが代わってお手伝いをさせてもらっているんです」といいます。
さらに、提供しているデザートは志免町の「サント・ノーレ」からの無償提供。オーナーの島田英明さんは、「19歳からずっとお菓子を作ってきて、還暦を迎えたのを機に、何か地域に恩返しできないかと考えていた時、松井さんの話を聞いて…」と、賛同のきっかけについて話してくれました。
町で子育て支援が活発な理由とは…
「子どもの居場所のために」と始まった「いこうや」も、多くの支援や思いやりに支えられ、3年目を迎えました。今では子育てに奮闘する母親たちにとっても、貴重な居場所になっています。
「志免町はマンションが増え、若い世代の方が多いのですが、そうした世代は孤独な子育てになりがちです。でもここに来たら、たくさんの人と一緒にご飯を食べて、楽しく過ごせる…そういった機会をもっと増やしてあげたい!」と松井さん。今後の活動についても意欲的に語ると同時に、そのためにもより多くの支援が必要だと切実な思いも語ってくれました。
「子ども」は社会の未来。多くの人が関わってこそ、社会を担う「思いやりの心」を育みます。共働き世帯の増加や核家族化など、今の時代が抱える「弧育て」を「自分のこと」として捉え、温かく寄り添う志免町の人々。そうした思いや真心に触れ、育った志免町の子どもたちが将来、きっと力強く町を支えてくれるに違いありません
■みんなの居場所 いこうや
毎月第4金曜 16時30分~
参加費:100円
会場:志免町総合福祉施設シーメイト
福岡県糟屋郡志免町大字志免451-1
※この記事は2019年の情報です(「シリタカ!」10月30日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。