「時と技を紡ぐ」(佐賀県佐賀市)

江戸末期、鹿島藩主鍋島家が考案創始したと言われている手織物「鹿島錦」。
その伝統は「佐賀錦」という名に変わり、現代まで受け継がれている。
佐賀錦振興協議会の会長・松本美紀子さんはその伝統を守るため、
講師として多くの人に佐賀錦を体験してもらい、その魅力を伝えている。

佐賀錦の特徴は、経糸は金銀箔や漆を施した和紙、緯糸は絹糸を使用しており、
網代型や菱型などの幾何学模様のデザインで、バッグや財布、帯など小物中心に用いられる。

1日に2~3cm、複雑な模様だと1cmも進まない時もあり、完成まで1か月以上かかる作品も。
そのため、気を付けなければいけないのは、糸の締め加減。
常に均一な締め加減が求められ、織り手の技術が求められる繊細な作業だという。
「色のバランス、模様、素材で様々な表情を見せるところが佐賀錦の魅力」と松本さんは語る。

そんな松本さんが未来に残したい風景は「旧福田家の庭園」。
明治末期から大正・昭和初期にかけて活躍した実業家・福田慶四郎が構えた近代和風住宅。
現在は、佐賀市の重要文化財に指定されており、一般の人も観賞できる。

旧福田家は佐賀錦振興協議会の拠点として普段から利用しており、
常日頃から見ているという庭園は手入れが行き届き、四季折々の花がみられるという。
歴史ある場所で、ゆったりとした時の流れの中にいることで心が落ち着く。
歴史ある佐賀錦を織るにはとてもいい環境だという。

※この記事は2022年の情報です(「STORY」10月23日放送)。

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