「藍で絞る」(福岡県朝倉市)

大正から昭和初期に織物産業で、日本一の生産量を誇った「甘木絞り」。
かつて朝倉市・甘木地区で盛んに作られていた染物で、
それは朝倉市の産業を支えるほどの繁栄だったという。
甘木絞りとは、主に、白の木綿地の上に糸で模様を描き、
その部分をさらに上から糸で絞り上げて、藍の入った樽の中で染色。
そこから数回の染色を重ねることで、
木綿地に濃紺と白のコントラストを出す技法のことだ。

朝倉市出身の西村政俊さんは、昭和26年頃に産業として終焉を迎えた甘木絞りを
再び復活させようとしている職人だ。
だが、昔、生産されていた甘木絞りのデザインとは一味違い、
現代の若者にも愛されるような衣服をメインに作っている。

甘木絞りという伝統工芸の技法は用いてはいるものの、
あくまでも大事にしているのは、時代に合わせたデザインだ。
伝統工芸は地域の文化や歴史にも密接にかかわるので、
これからも甘木絞りを後世に残していきたいと西村さんは話す。

そんな西村さんが未来に残したい風景は「佐田川」だ。
幼少時代に自転車で通っていた道で、歩くたびに当時の思い出が蘇るという。
この日は学校帰りの中学生やウォーキングをする人などが多く、
朝倉市民の憩いの場所になっていると感じられた。
西村さんいわく、「必ず白鳥がいる」そうで、
実際に撮影時にも6羽の白鳥が佐田川でリラックスしていた。
西村さんは、昔から変わらないこの景色が好きだという。
そしてこの景色が昔から変わらないように、
甘木絞りも、これからの朝倉市に残っていってほしいと願っている。

※この記事は2022年の情報です(「STORY」11月13日放送)。

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