殿様が愛したワインを蘇らせたい!72歳の挑戦 ~ふるさとWishみやこ町~

400年振りに蘇った「ガラミワイン」

福岡県みやこ町の、とある畑に向かいました。そこで栽培されていたのは、小さな苗木500本。畑にいたのは、みやこ町の郷土史研究家・光畑(こうはた)浩治さん(72)です。光畑さんが育てているのは「ガラミ」。この小さな実が、400年前に殿様が飲んだと言われるワインの原料だというのです。

400年前にみやこ町でワインが作られていた?!

これが殿様ワインの原料と思われる「ガラミ」

みやこ町は北部九州を代表する綾塚古墳や、豊前国分寺跡三重塔など、文化遺産に恵まれています。この地は、改元で注目されている太宰府と朝廷を結ぶ重要な場所でした。景行天皇がこの地に滞在されたという記録もあり、それが「みやこ」という町名の由来になったといいます。

ワインを飲んだというおしゃれな“殿様”は、この地を治めていた豊前小倉藩2代藩主・細川忠利(1586~1641)。4年前、北九州市立自然史・歴史博物館の永尾正剛名誉館員(72)が、細川藩に代々伝わる古文書から、その記述を発見しました。「忠利が『上田太郎右衛門に命じて葡萄酒を作ろうとした』という記述がありました。みやこ町の大村という場所で、葡萄酒が作られたのは間違いない」と永尾さんは話します。しかし、古文書の記載は3年ほどしかなく、多くは謎のまま。特に原料として書かれていた「ガラミ」とは何か、古文書の中でも明らかにはされていませんでした。

そこで永尾さんらは、大村で調査を慣行。そしてついに、「ガラミ」がブドウの仲間であるエビヅルを指す、この地方の方言であることを突き止めたのです。ガラミは、みやこ町の山の中などに自生する植物で、秋になると直径5ミリほどの紫色の実をつけます。光畑さんが地元有志たちと立ち上げた社団法人「豊前国小笠原協会」(川上義光代表)では、昨年約10キロのガラミを収穫。宮崎県の五ヶ瀬ワイナリーに協力をあおぎ、ついに2か月後、ハーフボトル12本分のワインの醸造に成功しました。味見をした光畑さんたちは、「ガラミ特有の酸っぱさかな」「野生の味」と、殿様と同じワインを飲めたことに感慨深げな様子でした。

歴史を通じてみやこ町を盛り上げたい

郷土史研究家・光畑浩治さん

光畑さんは、“歴史を通じた町おこし”をしようと動いています。「隠れたもの、忘れられたもの、そういう大事なものに再び光を当てていこうというのが私の考えです」と熱く語る光畑さん。今は、ガラミを活用した町の名物ができないかと試行錯誤を重ねています。手始めに作ったのは「ガラミ甘酒」。さらに、ガラミ大福などのスイーツの開発にも取り組んでいます。光畑さんは「いろんな商品開発が進んでいるので、本当に楽しみ。作ってくれる人にヒントをあげて、その人たちが工夫して良い商品になれば最高じゃないですか」と目を輝かせました。

「ガラミで“歴史のあるみやこ町”をもっと知ってほしい」と話す光畑さん。72歳の挑戦は、まだまだ続きます。

※この記事は2019年の情報です(「シリタカ!」5月8日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。

京都郡みやこ町大村

住所:京都郡みやこ町大村

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