店主は95歳!住民の生活支えるたった1軒の商店~ふるさとWish築上町~
福岡県築上町に住む佐藤スミ子さん。先日、95歳の誕生日をむかえました。
スミ子さんが暮らす寒田(さわだ)地区は、100世帯ほどが過ごす小さな集落。高齢化が進み、日用品を扱うお店は1軒しかありません。そのたった1軒「佐藤商店」の店長が、スミ子さんなんです。住民にとって、スミ子さんの店は頼みの綱。店内には食料品からシャンプー、洗剤まで、何でも揃えています。店の一角には洋服も。「ここは“ブティック”ですよ」と、お客さんと一緒に笑います。
店長の朝の日課は、店内を回りながら足腰の鍛錬。駄菓子の棚を整理しながら「子どもが来るときは、こんなんとすぐになくなってしもうてたけどね」と、昔を懐かしみます。「今は子どもが少ないけんね」。近くにある小学校は15年前に廃校になりました。
「おはようございます」と訪ねてきたのは、娘の真里さん。時間を見つけては、店を手伝いに来ています。商品の仕入れは、車の運転ができる真里さんの重要な役目。「テレビで納豆のことを言ったらしいの。そうしたら急に納豆が(売れだして)」「お肉好きのお客さんがいるから」と、迷いなく仕入れていく真里さん。「大体、売れるものが分かってるから」必要なものを必要なだけ。母親から学んだ商売の知恵です。
スミ子さんが佐藤商店に嫁いだのは、今から73年前。峰義さんと2人3脚で切り盛りしてきました。「昔はものすごく忙しかった。朝4時に起きて豆腐を作ってね」。峰義さんは30年以上前に他界。しかし、スミ子さんは1人になっても店を開け続けました。
そんなスミ子さんの店は、今でも客が絶えることはありません。「若いときはああだったこうだったって話すんよ。それが唯一の楽しみ」「誰かに会ったら元気の“気”をもらうでしょ?しゃべりに来るの。ウフフ」と楽しそうに話す常連の女性たち。「近所の人が相談に来るんですよ。おばちゃんだったら信用できるって。お客さんが(この店を)続けてくれたんよ」と真里さんも微笑みます。
最後に聞きました。スミ子さんの商売の哲学とは?「一番大切なことは、人にやさしくすること。お客さんに悪い気持ちを与えないよう、気を遣って商売せなんね(しなきゃね)」
※この記事は2020年の情報です(「シリタカ!」3月4日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。