再開発が進む天神で買える!100円「わらび餅もなか」のミライ~ふるさとWish福岡市~
「ありがと、ありがとう!」「1個でいいとー?」「うん、これはもう絶品よぅ」。福岡市中央区天神の天神コア前。再開発に向けて、ビルの閉館や解体が進む天神のど真ん中で、自転車屋台のおいちゃんがもなかにわらび餅をついでいます。こちら創業72年の「博多一番太鼓」。再開発が進む都会で、昔ながらのわらび餅を売り続ける理由とは―。
今日はどんな人と会えるだろう
たっぷりきなこをまぶしたわらび餅を、パリッパリのもなかで挟んだ「わらび餅もなか」は、福岡を代表する人気スイーツ。いや、スイーツというより“おやつ”と呼びましょう。素朴で、懐かしくて、見かけるとつい買ってしまう博多っ子の定番おやつ。価格は半世紀据え置きの1個100円!特注のもなかは、子どもが手に取りやすいサイズにし、きな粉やわらび餅は自社工場で作成。創業当時からのこだわりです。3代目の長尾重明さんは「いくら100円のわらび餅でも、味が変わったらお客さんに失礼でしょう。昔から食べていて味を知っている人がほとんどだから」と話します。
自転車で屋台を引きながら売り歩くスタイルも、昔から変わりません。「今日はどんな人と出会えるか、それが一番の楽しみです」と話す長尾さん。初体験だという大学生、子どもの頃に食べていたという夫婦、お母さんに連れられた小さい子ども、百円玉を2つ握りしめていまかいまかと待つ男の子・・・さまざまな人が次々とやってきます。1日400個売らないと利益は出ないそうですが「100円で売りたいんですよ。値上げしたら子どもが買えなくなるでしょう?」。そのため、経費はできるだけ抑え“手売り”を続けているのです。
再開発と“変わらないもの”
天神は、長尾さんにとって思い出深いところだとも。「再開発でどんどん変わっていくように思います。だけど、人の心は変わらない。(屋台を続けている)天神は大事な場所ですね」。代替わりして30年。長尾さんは、ずっと天神を見つめてきました。変わりゆく街並みを憂いているかと思いきや、「天神は福岡の顔。その時代に合わせた街並みに進化した方がいい」ときっぱり。今、長尾さんをわくわくさせているのは「天神ビッグバン」。2024年までに30棟のビルを建て替えるという一大プロジェクトです。「やっぱり、ふるさとの力です。博多っ子の力、みんなの力で活気のある街にしていけたらいいなぁと思います」。
ミライに進む一方で、昔から変わらないものもあることが街の大きな魅力になる―。そんな天神の風景が、ここに凝縮されているような気がします。
ところで、こちらの屋台「出会えたらラッキー♪」と思っている人も多いと思いますが…、朗報です。なんと博多一番太鼓の公式Twitterがあります!出店場所情報を確認することができるんです!イマドキ!!でも、出会えるかどうか分からない…というアナログさが、何だか好きだったりもしたり。
博多一番太鼓
福岡市南区長住2-22-10
☎092-542-0766
※この記事は2020年の情報です(「シリタカ!」3月25日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。