
一杯のラーメンに、店主のまっすぐな人生が見える『博多豚十郎』(糸田町)【ふるさとWish】

田川郡糸田町。車でふらっと走っていると、ぽつんと現れる『道の駅いとだ』。地元の野菜やお米、お弁当などが並ぶその一角に、豚骨の香りをまとった一店がある。それが『博多豚十郎』。フードコートの中とは思えない、どこか“通な”雰囲気がただよう、知る人ぞ知るラーメン屋さんだ。
店主の黒土さんは、もともと公務員。子育てもひと段落し、自分のこれからを考えていたとき、ラーメンの師匠とのご縁と、『道の駅いとだ』出店とのタイミングが合致し、新たな挑戦として師匠と共に立ち上げたのが、この『博多豚十郎』。

よく注文されるというメニューは「王道豚骨ラーメン」(税込780円)。
100%豚骨のみを水で炊き上げたスープは、見た目の重厚感に反してとても優しい味わい。しっかりコクがあるのに、するりと胃におさまる。特筆すべきはチャーシューの美しさ。注文が入ってから切りたてを盛りつけるとのこと。ネギはレンゲに乗せて提供され、苦手な方でも避けやすいように工夫されている。盛り付けの美しさにも、店主の心配りが光ります。

数量限定の人気メニュー「ちゃんぽん」(税込950円)は、メキシコ産の岩塩を使った塩ダレに、毎朝『道の駅いとだ』で購入するという地元産のキャベツなど、新鮮な野菜がたっぷり。塩ダレ豚骨ベースのスープと野菜の甘み、そして豚バラの旨みが絶妙に溶けあって、心も身体もほっと温まる一杯。塩ダレでキリリとしまった豚骨スープは、思わず飲み干してしまうおいしさだ。

お昼どきには、地元のおじちゃんおばちゃん、ドライバーさん、観光客がそれぞれに一杯をすすりながら、なんとも和やかな空気に包まれている。営業時間は10時から15時。不定休だが、道の駅の中にある赤丸カレンダーで営業日を確認できる。ちゃんぽんなどは数量限定なので、できれば少し早めの訪問が吉。
「一杯780円でも、胸を張って出せるものを作りたいんです」
そんな黒土さんの言葉に、取材しながら何度もうなずいた。見た目も、味も、量も、温度も。全部に“手を抜かない”という姿勢が、お客さんの「また来たい」にしっかり繋がっている。
ふらっと立ち寄ったつもりが、帰るころには「ここに来てよかったなあ」って、きっと思える。
そんな、まっすぐでやさしいラーメン屋さんが、糸田にはあります。
【博多豚十郎】
住所:福岡県田川郡糸田町162-4 道の駅いとだ内
電話:0947-26-5501
営業時間:10:00〜15:00
定休日:不定休
席数:100席(道の駅いとだフードコート)