
一度は訪れたい!「とくべつより、ほんとうを。」焙煎風景を眺めながら和モダン空間で味わう極上のスペシャルティコーヒー「篠栗珈琲焙煎所」(福岡・篠栗町)【まち歩き】

福岡市内から車で約30分、篠栗町の緑豊かな丘陵地に、コーヒー愛好家たちが注目する特別な場所がある。『篠栗珈琲焙煎所』──ガラス越しに広がる焙煎工場の焙煎風景を眺めながら、世界最高峰のスペシャルティコーヒーを楽しめる、他にはない体験型カフェだ。
■「とくべつより、ほんとうを。」に込められた哲学
一杯のとびきり美味しいスペシャルティコーヒーを提供するには、コーヒー豆の種子からカップまでの全ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が求められる。
ここ篠栗珈琲焙煎所では、そんなスペシャルティコーヒーの考え方に忠実に、選び抜いた高品質なコーヒー豆一粒一粒に宿るほんとうの美味しさをありのままに引き出してカップに注ぐ、一連の流れが、驚くほど真摯に行われている。これこそが「とくべつより、ほんとうを」に込められた哲学だ。
しかも、そのプロセスをカフェ空間からガラス一枚隔てただけの場所にある無機質でメタリックな焙煎工場を眺め、コーヒーを飲み、体感できるというのだから期待は大きく膨らむ。

■イタリア・モデナのマシンと熟練の焙煎技術
工場内の心臓部ともいえるのが、イタリア・モデナのペトロンチーニ社製焙煎機。フェラーリ本社がある鋳物の街で生まれたこの焙煎機は、熱伝導に優れ、熱風のコントロール特性も際立っており、焙煎の度合いを細かく制御できる。
特に注目すべきは120kg容量の大型焙煎機で、日本国内でも数台しかない貴重な設備だ。焙煎士は音、色、香りの変化を五感で感じ取りながら、釜上げのタイミングを見極める。この瞬間的な判断力こそが、20年以上の経験を持つ熟練焙煎士の真骨頂だ。
最新鋭の焙煎設備を持ちながらも、コンピューター上のプロファイリングだけに頼らず、専門の焙煎士がその日の気温や豆のロットの特性を考慮し、五感をフル活用して焼き上げる。「人の手を加えて豆の良さを最大限に引き出すことを重視している」という言葉通り、機械任せではない、職人の技が光る。こうしてデジタルとアナログをフル活用して、コーヒー豆のもつ、フルーツの甘さが引き出される。
■国際審査員による厳正な品質の評価
仕入れを決めるため、契約農園からのサンプルやオークション入賞ロットを月4〜5回のカッピングで厳選。篠栗珈琲焙煎所には、なんと4名のカップオブエクセレンス国際品評会の審査員が在籍している。運が良ければ工場の中央に配置されたラボで、彼らがカッピングしている様子も眺めることができる。世界共通のおいしさの尺度であるカッピングフォーマットの評価項目の中でも、特に甘さ(Sweetness)、ざらつきのなさ(Clean cup)、後味の印象度(After taste)を重視して、日本人の繊細な味覚に合う日本ならではのスペシャルティコーヒーを追求している。焙煎後は全てのバッチをハンドドリップで抽出し、店舗に出せる品質かを確認する徹底ぶりだ。
■おすすめのメニュー
◯Top of Top 同店が提供する最高のコーヒー
エクアドル カップ・オブ・エクセレンス5位入賞豆(税込1,500円)
※ロットがなくなり次第入替
アップル、キャラメル、ハニーのような印象のフレーバーが特徴。これらは後から加えたものではなく、豆本来の風味。はちみつを思わせる優しい甘さと、とろっとした質感、そして非常に長い余韻が楽しめる。ハンドドリップで提供され、驚くほどクリアですっきりした味わいだ。
◯期間限定 ローストビーフサンドイッチ(税込2,100円)
国産もも肉を厨房で手切りした贅沢な一品。ケール、香辛大根、マンゴーピクルスなどの野菜と一緒に挟み、トリュフソースをかけていただく。わさびやクリームチーズで味の変化も楽しめる。
◯期間限定 アメリカーノ コーディアルライム(税込1,200円)
バリスタがフレッシュライムで作る自家製のフルーツシロップを使用。コーヒーに合うよう糖度を調整し、エスプレッソと合わせることで、甘さと爽やかさが両立した夏向けの大人のコーヒードリンクに仕上がっている。

■日本のスペシャルティコーヒーを楽しむための空間
カフェ内のインテリアは和風な設えで、一角には日本美術院同人の井手康人画伯の描いた幻想的な『九大の森』の絵画が飾られている。切り出しの石を積んだ店の入口までのアプローチから上野焼のコーヒーカップまで、「日本のスペシャルティコーヒー」というコンセプトが空間全体に反映されている。
壁や天井は同一色の左官材で塗られ、あたかも店内がコーヒーの香りで包まれているようなイメージだ。やはりここは日本人の繊細な味覚に合う日本のスペシャルティコーヒーを追求し、楽しむために考えられた場所なのだ。
ある時は焙煎風景を眺めながら、ある時は篠栗の山々を眺められる窓辺のテーブルに。絵画の傍らのテーブル席は美術館のようだ。何度か訪れて慣れてきたら、カウンター席でバリスタと言葉をかわすなど様々な楽しみ方が可能。特に午前中の10時頃は比較的空いており、ゆったりとした時間を過ごすのにおすすめだ。

■立地の魅力と今後の展望
福岡インターから車で10分以内というアクセスの良さと、オーナーの「緑豊かな場所でコーヒーを提供したい」という積年の思いが立地選定の決め手となった。顧客に非日常感を提供する特別な場所として機能している。
「将来的には、篠栗珈琲焙煎所が九州、ひいてはアジアのコーヒーのランドマークとなることを目指している。篠栗がスペシャルティコーヒーの「聖地」と呼ばれることで地域に貢献できるならこんな幸せなことはない」という。
現在はスペシャルティコーヒーを中心とするイベントやセミナーの本格的な開催準備を進めており、より多くの人々に日本のスペシャルティコーヒーを体験してもらう計画だ。
一度訪れて、この特別な空間と極上のスペシャルティコーヒーを味わってもらいたい場所だ。

■『篠栗珈琲焙煎所』
住所:福岡県粕屋郡篠栗町彩り台3-18
電話:092-948-0330
営業時間:10:00~18:00(8/31迄 サマータイム 10:00-19:00)
定休日:不定(詳しくはInstagramを確認)
Instagram:@ssgrroastery
https://www.instagram.com/ssgrroastery/
GENRE RECOMMEND
同じジャンルのおすすめニュース
AREA RECOMMEND
近いエリアのおすすめニュース