大人気!140年続いた醤油蔵がピザ食べ放題レストランに!地元の魅力を全国・世界へ『Cafe&Deli ヒシミツ』(福岡・添田町)【まち歩き】

■添田町から世界へ繋ぐ地域再生の物語

福岡県田川郡添田町。英彦山の麓に位置するこの小さな町で、ひとつの醤油蔵が新たな歴史を刻み始めています。140年続いた『ヒシミツ醤油』は2017年、イタリアンレストラン『Cafe&Deli ヒシミツ』として蘇りました。その背景には、伝統を途絶えさせまいとする一人の女性の想いがありました

■関西から故郷へ「ヒシミツの名を途絶えさせたくない」

「祖父と父とで二人三脚で醤油を作っていましたが、祖父が亡くなったタイミングでもう作れなくなり、そのまま廃業して、建物だけがそのまま残ったんです」。
そう振り返るのは、7代目当主の中村有美子さん。大学卒業後から関西で飲食店を経営し、現在も関西で4店舗を展開しています。醤油蔵の廃業が決まった時、約12年ぶりに故郷へ帰ることを決意しました。
「都会に慣れてたんで今から田舎暮らしができるかなという不安はありました。でもやっぱり離れたからこそ良さが分かったというか。田舎の空気感、食材の良さだったり、人の優しさだったり、1回離れるからこそ分かったことが強みだと思ったので」。
醤油作りのノウハウはなくても、飲食店経営の経験を活かせばヒシミツの名を残せる。そんな想いから、築150年の醤油蔵をリノベーションし、レストランとして再生させる道を選びました。

■蔵の記憶を残したリノベーション

店内に足を踏み入れると、天井の高い空間に当時の梁がそのまま残されているのが印象的です。
「長く続いた歴史を見てほしいので、できるだけいじらずに梁などは当時のままです」。
取材時に実際に見た店内は、歴史ある建物の重厚感と現代的な快適さが見事に融合した空間でした。醤油の樽が展示され、百年以上続いた歴史を感じることができます。

■イタリアンと和の融合が生む唯一無二の味

『ヒシミツ』の看板メニューは、20種類以上のピザが食べ放題のランチコース。前菜、パスタまたはリゾット、ドリンクがついて税込2,480円。
中村さんが関西で学んだイタリアン料理に、復刻したヒシミツ醤油や味噌、麹といった和の調味料を融合させた独創的なメニューが特徴です。
「イタリアンがベースになるんですけど、前菜やピザ・パスタにも全面的に醤油を使って、麹が入った味噌や醤油を使ったものをできるだけ料理として提供するようにしています」。
年配のお客様にも配慮し、100%イタリアンよりも和の要素を取り入れることで、幅広い年代に愛される味を追求しています。

■地産地消で紡ぐ地域の絆

添田町の豊かな自然が育む食材をふんだんに活用することも、『ヒシミツ』の大きな魅力です。
「昔からシイタケが有名で、野菜やお米が美味しいです。お水が美味しいと言われることが結構多くて」。
地元の藤川椎茸園からは椎茸を、軸の部分まで使ってスープの出汁に活用。道の駅や地元の八百屋から仕入れる新鮮な野菜は、若い農家が育てる新品種も含まれ、常に新しい発見があるといいます。

■9年間で築いた地域循環の輪

開店から9年目を迎える『ヒシミツ』で特筆すべきは、スタッフの定着率の高さです。
「ありがたいことに、お店に訪れて、ここで働きたいと思ってくださる方が多い。あとは添田町の方もオープニングからみんな辞めずに9年目になるんですけど、今はその方たちのお子さんが大きくなって、二世たちが大学生になってアルバイトしに来てくれてるんです」。
親子二代にわたって働く職場として、地域内での人材循環が生まれています。
「『お母さんが働いているところで自分もバイトしたい』と思ってもらえるようなお店でありたいと思います」。

■添田町から世界へ ベトナム進出への挑戦

現在、中村さんが見据えているのは海外展開です。特に注目しているのがベトナム。
「今海外進出も考えているんです。ベトナムに何度か足を運んでいて。経済発展著しいのと、意外と皆さん勤勉で真面目な方が多い。好奇心がすごく高い国だったので、醤油とか新しいものに対しての興味をすごい示してくださいます」。
数ヶ月に1回のペースで現地調査を行い、輸入規制や現地での食材調達について研究を重ねています。現地での試食会では、卵かけご飯などが大好評だったといいます。
「醤油を使ったお料理を食べてもらう機会があり、とても喜んでいただきました。そのような機会を通じて喜んでいただけるようなことはどんどんしていきたい」。

■四季が紡ぐ添田町の魅力

添田町の大きな魅力は、はっきりとした四季の移ろいです。
「桜がすごくきれいに咲く。夏は川で遊べる。冬は雪が降って、秋は紅葉がとてもきれいなんですよ。四季がはっきりしている町って珍しいんじゃないのかなって。しかもどれを切り取っても綺麗なので」
この自然環境に魅力を感じ、子育て世代の移住者も増加しているといいます。
「移住してこられる方も結構今多くて。お子さんいると、冬は雪で遊ばせたい、夏は川が近くなって川遊びさせたいですよね」。
英彦山をはじめとする観光資源も豊富で、紅葉シーズンには1か月前からお店の予約が埋まるほどの人気を博しています。

■地域の誇りを胸に未来へ

「添田町の人って添田愛が強い方が多いので。結構都会に出ても戻ってくる方が多いんじゃないかな」。
そう語る中村さん自身も、その添田愛を体現する一人です。
今後は添田町の食材を使った調味料やスイーツの開発を通じて、全国・世界への発信力を高めていく予定です。140年続いた醤油蔵の歴史と、新しい挑戦への情熱。ヒシミツは添田町の可能性を世界に示す、希望の灯台として輝き続けています。

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■『 Cafe&Deli ヒシミツ』
住所: 福岡県田川郡添田町大字添田1999
電話::0947-31-4192
営業時間::11:00~16:00(LO 14:30)
定休日: 日曜・祝日
Instagram@hisimitu_1999/
https://www.instagram.com/hisimitu_1999/

■ Cafe&Deli ヒシミツ

住所:福岡県田川郡添田町大字添田1999
URL:https://www.instagram.com/hisimitu_1999/

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