

2025年9月4日、桂川町の『英国亭』を訪れた私を迎えてくれたのは、オーナーの首藤幸江さんの明るい笑顔でした。「今日はちょうど私が働き始めて30周年なんです!」という言葉に、取材陣も驚きを隠せませんでした。
実は英国亭の歴史は1977年まで遡ります。かつて『英国亭』として営業していたお店を首藤さんが引き継ぎ、バイパス沿いで営業を開始。その後2010年に現在の場所に移転し、親子3世代で地域に愛される喫茶店として歩み続けています。
■町おこしから生まれた「古墳バーガー」
英国亭の看板メニューである「古墳バーガー」誕生のきっかけは、桂川町の町おこしプロジェクトでした。
「町長がお見えになって、なんか町おこしをしたいということで、桂川町の役場の人と一緒に考えたんです」と首藤さん。「うちは全部手作りなんですよね。特にデミグラスソースは何日も煮込んだ手作りソースです。これを活かそうということで、ハンバーガーはどうかなって」。

古墳バーガーの特徴は、なんといってもイカ墨を使った真っ黒なバンズです。筑豊地域の炭鉱で栄えた歴史も表現した、他では味わえない独自の味わいです。そして白のバンズは米粉が使われています。
■著名人も認めた味
古墳バーガーは、エジプト考古学者として有名な吉村作治さんも絶賛。まずスタッフが来店し、その後吉村さん本人が来店してInstagramで紹介してくれたそうです。
また、「古墳王子」として知られる飯田怜大さんも来店し、メディアでも度々紹介されています。「お客様から『こんなに安くていいんですか』って言われることが多いですね」と首藤さんは嬉しそうに語ります。

■親子3世代の役割分担
『英国亭』は現在、お母様である上田チサ子さん、首藤幸江さん、そして娘さんの石谷祐里さんの3世代で営業しています。
「お母さんが店主兼監督みたいな感じで、私は副店長、娘がパン担当です」と首藤さん。娘さんは卒業文集に「コックさんになりたい」と書いていたそうで、大学卒業後に自然とお店に戻ってきました。
世代間で意見が違うこともありますが、お互いに意見をすり合わせ、家族の絆を保ちながら営業しています。
■地域に愛される秘訣
「地域の人に可愛がられるお店を目指してきました」と首藤さん。30年間で多くの常連客に愛され、子どもの頃に来ていたお客様が大人になって、今度は自分の子どもを連れて来店することも珍しくありません。
特に印象深いのは、桂川町で韓国の伝統芸能の公演をする方が「ここで食事をすると成功する」というジンクスを信じて、公演前には必ず来店されることです。

■こだわりの手作りと本格コーヒー
『英国亭』では冷凍食品は一切使用せず、すべて手作りで提供しています。特にサイフォンやネルドリップで淹れるコーヒーは絶品で、「毎日挽いてるから新鮮さが違うんです」と首藤さんは自信を持って語ります。

■デジタル時代に求められる「人のぬくもり」
取材の最後に、首藤さんは現代社会における喫茶店の役割について語ってくれました。
「AIの技術進歩も素晴らしいけれど、やっぱり人と人との関わりも大切。コーヒーは家で飲むのも美味しいかもしれないけれど、人が淹れてくれて、音楽があって、周りの席の人の話し声があって、その全てが揃った時に本当に美味しいと思うんです」。
「今、喫茶店がブームなのは、皆さんそういう人とのつながりを求めているからじゃないでしょうか」。
桂川町の王塚古墳から車で約5分という立地も魅力的。古墳見学とセットで、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。30年の歴史と家族の愛情が詰まった古墳バーガーと、心温まるおもてなしがあなたを待っています。
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■『 英国亭』
住所::福岡県嘉穂郡桂川町土師2166-2
電話::0948-65-5519
営業時間::10:00~21:00(19:00~21:00は要予約)
定休日:日曜
Instagram: @eikokutei1977
https://www.instagram.com/eikokutei1977/
■ 英国亭
住所:福岡県嘉穂郡桂川町土師2166-2
URL:https://www.instagram.com/eikokutei1977/
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