

新宮町の静かな住宅街に、週に一度だけひっそりと灯りをともすベーグル店があります。「コトリノ森」——ベーグルとおかしの小さなお店です。毎週金曜日の夜だけ営業するという珍しいスタイルで、2024年9月にオープンしました。
「日々にそっとよりそい、ほんのちょっとのごきげんを」——このコンセプトには、忙しい毎日の中でふと自分の好きなものをほおばるひととき、その小さなご褒美の時間が心に元気をくれる瞬間への想いが込められています。
■新宮町との出会いが生んだ"地域愛"
有髙さんが新宮町に移り住んだのは、子どもが生まれたことがきっかけでした。「この町で出会う人たちは皆さん本当に温かく優しくて、たくさん支えていただき、自然と新宮町が大好きになりました」と振り返ります。
7年前に原上地区に居を構えてから、有髙さんが最も驚いたのは農家の人たちが作る果物の美味しさでした。梅雨前のすもも、秋の巨峰や新鮮ないちじく、そして秋から春にかけてのさまざまな柑橘類。「みかんは瑞々しくて甘く、濃厚で大好きです」と目を細めます。
「いつかこの原上の美味しい果物を使ってベーグルやおやつを焼き、その魅力をもっとたくさんの方に広めたい」——そんな想いが、今のお店づくりの原点となりました。

■金曜夜だけ営業する理由
週に一度、金曜日の夜だけという営業スタイルには温かな想いがあります。「お仕事帰りや休日前にふらりと立ち寄っていただき、週末のおうち時間をのんびりと過ごすお供になれたら嬉しいです。ほっとひといき、週末がわくわく楽しみになりますように」。そんな思いを込めて、金曜日の夜にお店を開いています。
「お客様には、お子様から50代以降の方まで幅広い年代の方にお越しいただいており、それぞれの時間を大切に過ごしていただいています」。

■発酵と地域素材へのこだわり
ベーグル作りでは、麹を使った酵母やライ麦から起こした発酵種を取り入れ、発酵の旨みや香りを大切に。お惣菜ベーグルには手作りの麹調味料を加え、コクのある味わいに仕上げています。
地域の恵みを活かし、母親が届けてくれる果物や地域の農家から仕入れた果物を使った自家製セミドライフルーツも作っています。「ジューシーで香り豊かで、瑞々しい果実感をそのまま閉じ込めているのが特徴です」。
日々様々なベーグルを考える中で、「お客様へわくわくをお届けしたい」という想いが込められています。
ベーグルには北海道産小麦をはじめ、きび砂糖やはちみつ、よつ葉バター、粗塩、そして自家製の発酵種を使用しています。2日間かけてゆっくりと発酵させることで、噛むほどに旨みが広がるベーグルに仕上げています。
お菓子作りでも、よつ葉バターやきび砂糖を使い、コクのある優しい甘さを意識しています。「素材そのものの美味しさを活かしながら、ほっとするようなおやつを目指しています」。

■人気商品に込められた想い
店の人気商品の一つが「めんたいバター」(税込380円・上写真上)です。新宮町の無添加明太子をたっぷり使い、よつ葉バターやにんにく麹の旨み、明太子のピリッとした感じがアクセントになっています。レンジで温めてトースターで焼き上げると、じゅわりと広がるめんたいバターとバリッともっちりな食感を楽しむことができます。
もう一つの人気商品「まきまききなこ」(税込350円・上写真下)は、きなこをたっぷり練り込んだベーグル生地に、よつ葉バターで作る手製のきなこバターをまきまきしたものです。もっちり食感と優しい甘さで、お子様から大人まで人気のベーグルです。
週に一度の営業だからこそ、一つひとつのベーグルに丁寧に向き合い、想いを込めて焼き上げることができます。「食べてくださる方が少しでもごきげんになれるような、味わい深いベーグルをお届けできれば」という想いが込められています。
定番のもっちり「プレーン」(税込260円)、「チョコレート」(税込320円)、定期的に変わるメニューの「おいもとりんごのシナモンクッキー(」税込380円)など種類も豊富です。
■お客様との温かい交流
お店はお客様との距離がとても近く、ベーグルをお渡しする際に直接感想をいただけることが大きな励みになっています。中には、前日の朝から始まる購入予約のためにアラームをかけて早起きしてくれる方もいて、「そのお気持ちに胸が温かくなりました」と有髙さん。
特に印象深かったのは、「冷凍庫にあると、また今週も頑張ろうと思える」という声でした。「本当に嬉しく、ベーグルを通じて日々の小さな支えになれていることに感謝の気持ちでいっぱいになりました」と有髙さんは振り返ります。

■ベーグルを通して、新宮町の柑橘の美味しさを
今後の目標について、新宮町の特産である柑橘への想いが語られます。「この町には柑橘を育てる農家さんが多く、季節ごとにいろいろな柑橘と出会えるのが、とても素敵なところだと思います」。
柑橘の皮は豊かな香りがある一方でほろ苦さもあり、その香りを生かしながらピールに仕上げるのは難しい作業だそうです。「だからこそ、もっと学びを深めながら、新宮町ならではの柑橘を使ったベーグルを形にしていけたら」。
柑橘のベーグルとたくさんの美味しい組み合わせを生む場所でありたい。大好きな町の果物の美味しさを、ベーグルを通して広めていく——「これからも少しずつ取り組んでいきたいです」と有髙さんは穏やかに微笑みました。
金曜日の夜、一週間の疲れを癒やす小さな贅沢を求めて、多くの人が『コトリノ森』の温かな灯りを目指しています。それは単なるベーグル店ではなく、忙しい日々にそっと寄り添う"ほんのちょっとのごきげん"を届ける場所なのです。
________________________________________
■コトリノ森
住所:Instagram・HPで確認してください
営業時間:18:00~20:00(売り切れ次第終了)
営業日:金曜(詳しい営業日はInstagramで要確認)
※予約した人は17:15〜受取可
※予約客優先のため、予約するのがおすすめ
※予約は公式LINEに登録後、予約フォームから予約可(Instagramで要確認)
※メニューと予約フォームの受付時間は、Instagramで告知しています
Instagram:@cotorino.mori_bagel
https://www.instagram.com/cotorino.mori_bagel
公式HP:https://cotorinomori.main.jp/
GENRE RECOMMEND
同じジャンルのおすすめニュース
AREA RECOMMEND
近いエリアのおすすめニュース