「白濁の向こう側に辿り着きました」。激濃茶濁豚骨ラーメン店「あなたの心を鷲掴み」 豚骨戦士 福岡のラーメンを斬る! VOL.55〜ふるさとwish 八女市〜

2020年02月14日

[ラーメンWish]

あなたの心を鷲掴み」の「鷲掴みとんこつ」(770円)

いよいよ終盤に突入した、福岡県の全市町村を巡るラーメンwish。今週は福岡県八女市が舞台だ。本企画でようやくこの店が紹介できると筆者もうれしく思っている。2018年に八女市立花町に鮮烈デビューを果たした、その名も「あなたの心を鷲掴み」(通称:あな鷲)。“濃厚”“濃密”“重厚”“どっしり”“猛々しい”。どんなに言葉を積み重ねてもこの店のスープの濃さを表現するのは物足りない。とにかく、他の追随を許さない突き抜けた豚骨濃度の高さ。そして、熱すぎる店主の人柄。絶対体感せねばならない、特濃豚骨店である。

追い骨を重ね、濃度を極限まで高める

厨房に羽釜が並ぶ 中はまるで温泉地獄

「白濁の向こう側に辿り着きました」と胸を張る店主の三浦隆寛さん。スープは白濁を通りこし、深い“茶濁”に。脂ではなく、豚骨の量の多さに由来するドロリとした粘度がある。「魁龍」の森山さんが作るラーメンもそうだが、「あな鷲」も店主の熱い人柄、実直さが染み出したような一杯。それはそれは濃厚で猛々しい。

追い骨”を繰り返すことで濃度が格段に上がっていく

「あな鷲」のスープは骨、水、醤油のみで作られる。余分な調味料、ラードも一切加えない。厨房に並ぶ3つの羽釜のなかでも一番深い茶色となり、とろみをまとってコポリ、コポリと温泉地獄のように煮込まれているのが濃度最強の1番釜だ。用いている手法は複数の羽釜のスープをブレンドするいわゆる“呼び戻し”であるが、三浦流は骨の量や入れ方、火力にいたるまで一般的なそれとはまるで異なる。下処理をしない生の骨をハンマーで砕きながら、本釜へ次々と投入していく。普通は、煮込み時間の若い釜に骨を足し、段階的に濃度を上げた複数の釜のスープで調整をするもの。丼に注ぐ用の釜(本釜、売り釜)に直接、大量の生骨を“追い骨”するのはあまり見ない光景である。“逆呼び戻し”とでも言おうか。

三浦さんはスープを見守るため、店に寝泊まりすることも多いそう

「燃焼容量3万5000kcalの強力なバーナーで臭みやエグミを一気に飛ばします。骨の部位はゲンコツを使い下処理、アク抜きはあえて行いません。その方が豚骨の旨味を余すところなく引き出せますから。追い骨を続けることで濃度がどんどん積み上がっていきます。1杯あたり約1kgの骨が入り、濃度計も一般的な豚骨ラーメンよりはるかに高い27%を指すんですよ」。と三浦さん。豚骨の量もそうだが、強力なバーナーで終始炊き続けるため使用するガスの量も半端ない。開業当初は、ガス業者も予想をはるかに上回る使用量に目を丸くしたそうだ。

八女市立花町の国道3号沿い。三浦さんと母、妹、家族で迎えてくれる

「あな鷲」の三浦隆寛さんは、1984年宮崎県小林市出身。2013年に、自身の豚骨ラーメン店「天頂(てっぺん)」を出し、2018年、福岡県八女市へ移転。屋号も改めた。

「18歳でアルバイトからラーメン店に入り腕を磨いてきました。脂が多かったり、塩分が強かったりではなく、“豚骨”の旨味が伝わる一杯を長く追求してきましたね。今の形に辿り着いたのは、より濃厚にしたいという発端ではなく、“シンプルに豚骨本来の味を感じてもらうため”を突き詰めた結果として、骨の量が増え、濃度も上がったという感じです。移転の地に八女市を選んだ理由。それは豚骨の本場福岡、熊本どちらからも約50km、聖地・久留米からも近いため。それぞれの地のラーメン好きを集めたいとの思いです」。

「あな鷲」は1か月前より自家製麺も改良。新たに全粒粉や「吟麦」を配合した香り高い、中太縮れ麺を作っている。特濃茶濁スープとの絡みを楽しんで欲しい。

【あなたの心を鷲掴み】
住所:福岡県八女市立花町原島129-1
電話:0943-24-8444
営業時間:11:00〜15:00※売切れ次第終了
休み:月曜(祝日の場合営業)
席数:21席
駐車場:12台(無料)
上村敏行(かみむらとしゆき)。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」はじめ各媒体での執筆活動、ラーメンイベント監修などを行う。KBC地域リポーター。


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あなたの心を鷲掴み
  • 福岡県八女市立花町原島129

  • 0943-24-8444

  • 11:00〜15:00※売切れ次第終了

  • 月曜(祝日の場合翌日)