お遍路さんの街にチャンポン店だらけのナゾ!?~ふるさとWish篠栗町~
2019年05月07日
[アサデス。旅行社]
福岡市の東部に位置する糟屋郡篠栗町。自然豊かな風土を活かし、森林セラピー基地として認定されている癒しスポットとしても知られています。町内には篠栗四国霊場があり、巡礼道としても親しまれている篠栗町。ブロンズ製では世界一といわれる釈迦涅槃像が鎮座する「南蔵院」はパワースポットとして連日、多くの人が訪れています。
そんな篠栗町では、あるソウルフードが街の至るところで提供されていますが、そのルーツがなぞに包まれているそう。
そこで、2019年4月23日(火)の放送、九州朝日放送の朝の情報番組「アサデス。KBC」の「ふるさとWish アサデス。旅行社」では、そのルーツに迫る調査を敢行。篠栗町のソウルフード誕生の謎や如何に!?
あっさり系?こってり系?あなたはどっち?!魅惑の篠栗チャンポン
「まずは情報収集!」と、リポーターのボビーが降り立ったのは、JR篠栗駅前。次々と町民の皆さんから飛び出したのは、「篠栗のグルメといえば、チャンポン」のお言葉。確かに、町の至る所で「チャンポン」の文字を見かけます。詳しく聞くと、「あっさり系でしつこくない」、「濃厚とんこつベースでこってり味」、「鶏ガラスープを使ったあっさり風味」など、それぞれ町民の皆さんは「お好みテイスト」を持っているよう…。そんなに多様な「チャンポン」が篠栗町に広がっているのはどうしてなのか―?
そこで、町民の多くから挙がった人気店「熊っ子」に行ってみることに。店先では丼を片手に持った熊の置物がお出迎え。その横には「チャンポン」の看板とのぼりが掲げられています。早速、「1日に100杯以上出る」という大人気の「チャンポン(650円)」を注文。現れたのは、山盛り野菜の具たっぷりチャンポン!丼を持ち上げたボビーも目を丸くするほどの重量とボリュームです。自家製麺のチャンポン麺はモチモチ食感、野菜の旨みが染み出たスープが特長の絶品チャンポンです。おいしさのヒミツは、「ボリュームがあっても最後まで食べられるように」と、ベースとなる豚骨スープの脂を丁寧にとり、旨みだけを残しているから。「美味しさ」を凝縮した1杯に、ボビーも「100杯以上出るのも納得!」と絶賛です。そんな「熊っ子」の店主安部和範さんに、「なぜ篠栗町にはチャンポンのお店が多いのか」と尋ねますが、「分からない…」とのこと。
それならと向かったのは、創業70年以上の老舗食堂「よしみ」。外観や看板に「チャンポン」も文字はありませんが、利尻昆布とカツオだしがベースの超あっさり系チャンポンが人気のお店です。こちらの「チャンポン(600円)」も、具たっぷり!野菜や肉、イカなど多彩です。上品なスープはすっきりした味わいで、旨みが凝縮された深みある味わいが特長です。しかし、こちらのお店でも、どうして篠栗にチャンポンが多いのか分からないとのこと。
この2店に限らず、街のあちこちにチャンポンのお店があり、それぞれこだわりの1杯を提供しているにも関わらず、一向にそのルーツにたどり着けません。
ついに有力情報をゲット?!ルーツはチャンポンの本場・長崎なのか―。
多くの人が行き来する土産店なら有力な情報が手に入るかもと訪れた「恵比寿屋」で、店主の村嶋喜章さんから、「毎年、長崎の製麺会社の社長さんがお参りに来られているから、もしかして…」という有力情報をゲットしたボビー。そこで、長崎県大村が本社であるチャンポン麺メーカー「狩野ジャパン」の狩野喜治社長に電話をかけてみると、「確かに20年以上、篠栗町に参拝に伺っています」という返答。「篠栗町にチャンポン麺を卸していらっしゃいますか?」と尋ねるも、「麺は卸してないですね」。当然、篠栗のチャンポンルーツも不明のまま…。謎は深まるばかりです。
そこで、地元の新聞社なら何か知っているかもと、篠栗新聞を訪ねてみることにしたボビー。そこで天野政和さんが、「有名な『いこい食堂』で聞いてみたら?」とアドバイスを受け、店主の娘である藤田敏子さんのもとに向かいます。
「いこい食堂」は、約60年前、敏子さんの母である、藤田澄子さんがオープンさせた食堂。当時、たくさんのお遍路さんが行き交う、人で賑わう通りに面したお店だったといいます。そこで人気だったのが「チャンポン」。巡礼中は、肉や魚介などを口にせず、歩き続けるお遍路さんの疲れを癒したのが食堂で提供していた「チャンポン」だったのです。1つの丼に野菜だけでなく、肉や魚介が入ったチャンポンは、それだけでご馳走であり、栄養が詰まった精がつく食べ物。巡礼終わりのお遍路さんにとってチャンポンは欠かせないものだったに違いありません。敏子さんが「お遍路さんがいたからこそ、篠栗にはチャンポンが根付いたといえると思います」と話すように、「チャンポン」は、お遍路さんの街である篠栗だからこそ生まれた、篠栗ならではのソウルフードなのです。
そんな街の歴史と思いが詰まった篠栗の「チャンポン」。チャチャっと食べるだけでなく、少し思いを馳せながら食べてみると、味わいがさらに深まるはず。ぜひ、篠栗町に行った際には、ぜひ味わってみてくださいね。
※この記事は2019年の情報です。変更している可能性があります。事前にご確認ください。