牛肉より旨い!伝統の郷土料理「鶏すき」~ふるさとWish古賀市~
2019年05月14日
[アサデス。旅行社]
九州最大の都市・福岡市内から車で約30分。県北部の古賀市は、東側には緑豊かな山々、西側には美しい海岸線を有する自然美豊かなまちです。一方、食品加工などの工場が集まる「ものづくりのまち」としても知られています。
そんな古賀市には、江戸時代から伝わる独特の「すき焼き」が根付いているといいます。
「すき焼きには鶏肉!」が古賀市民の常識?!
「まずは情報収集!」と、リポーターのボビーが訪れたのは、地元の人が集まる農産物直売所「コスモス広場」。「古賀市のすき焼きってどんなものですか」と声をかけると、みんな一様に「鶏すき」と答えるではありませんか。コスモス広場の売り場にも「家庭用とりすきセット」なるものが売られています。九州道でもっとも利用者が多い古賀サービスエリアでも、「はかた地鶏の鶏すき丼」が人気メニューだそう。
「すき焼きは牛肉じゃないの?」という疑問を抱えつつ、実際に古賀市民の食卓をのぞいてみることにしました。「できたよ~」とお母さんが鍋のフタを開けると、そこにはすき焼きが…でも家族が頬張っているのは鶏肉です!「福岡は水炊きだけど、古賀の郷土料理は鶏すきです!」と断言されました。
この鶏肉を使ったすき焼きは、古賀市民の愛する郷土グルメのよう。牛肉を使う一般的な「すき焼き」と、作り方に違いはあるのでしょうか?居酒屋「鶏家」の鍋田寿夫店長に「鶏すき」を実演してもらいます。すると…?!
「鶏すき」のルーツは江戸時代の養鶏文化から
「ちょっと待って!え?そんなに?」。鍋田さんが鍋に投入したのは大量の砂糖!鍋一面に敷き詰められた砂糖で鶏肉を絡めるように焼き、しょう油を入れます。「こんな作り方、見たことないよ」と不安げなボビー。でも、でき上がった「鶏すき」を口に入れると、目を見開いて「うまい!」とうなりました。味付けがシンプルなだけに肉のうま味がストレートに伝わり、コクが口いっぱいに広がります。
「九州鶏すき学会」の主任研究員の近藤裕隆さん、日本経済大学教授の竹川克幸さんにうかがったところ、古賀市の「鶏すき」のルーツは江戸時代の養鶏文化から来ているとのこと。「江戸時代、福岡藩は鶏の卵を特産品、ブランド品として生産していた」という竹川さん。当時の文献には、確かに大坂(現・大阪)への出荷物に「筑前卵」と、当時の古賀エリアを指す「筑前」の名がつけられた特産卵が記されています。また、現・古賀市青柳地区では、鶏卵や鶏肉が販売されていたことも書かれていました。そのことから、「古賀市の鶏すきは、卵の生産のため、家庭で鶏を飼っていたことがルーツだと考えられます」と竹川さんは話します。
江戸の頃から養鶏が営まれていた古賀市青柳地区にあるのが、「はかた一番どり」の会社「あらい」です。ここでは、「昔から親しまれていた品種を残すために」と、当時採卵用に飼育されていた「漣(さざなみ)」の遺伝子を受け継いだ交配種を育てています。食べ物のDNAや記憶は、食文化として地域に残るもの。家庭で代々食されてきたものが、地域に根付いた「鶏すき」なのだと竹川さんは言います。古賀市民が愛する「鶏すき」は、まさしく郷土に根付いた伝統であり、受け継ぐべき食文化だったのです。
〆にはそうめんという、独特な「鶏すき」。栄養豊富で奥深い古賀の郷土食を、ぜひ味わってみてはいかがですか?
※この情報は、朝の報道情報番組「アサデス。KBC」(2019年5月14日放送、リポーター:ボビー)でお届けしました。
※この記事は2019年の情報です。変更している可能性があります。事前にご確認ください。