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毎週土曜 午前10:00~

放送内容

危険薬物

2024年04月27日

[過去の放送内容]

今回、危険薬物についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院 薬剤部長・病院長補佐の
神村英利 (かみむら ひでとし) 先生です。

■危険薬物とは

危険薬物とは、心身に悪影響を及ぼす危険な薬のことで、
様々な法律で厳しく規制され、所持しているだけで犯罪になります。
代表的なものとして大麻や覚醒剤、
“危険ドラック”と言われる指定薬物などがあります。


■大麻

大麻は、大麻草という植物の成分からなり、
幻覚や意識障害をもたらします。
使うと、一時的に心地が良くなってストレスが発散され、
現実逃避ができるので使い始めるようです。
現在、世界中で乱用されている薬物で、日本でも乱用が拡大しています。


■覚醒剤

覚醒剤は、化学合成された精神刺激薬で、
頭が冴えて、何でもできるような気持ちになります。


■危険ドラッグ

危険ドラッグは、大麻や覚醒剤の構造を一部変換したもので、
人体に及ぼす影響は、大麻や覚醒剤と同じくらい危険です。

これまで大麻などの危険薬物は、特殊なルートで取引されていました。
しかし最近では、繁華街の一角で友人や知人から、
または、インターネットから簡単に入手できるようになり、
若者を中心とした使用者急増の要因になっています。


■使用すると…

危険薬物が体内に吸収されると、血流に乗って全身を巡り、
様々な臓器に障害が出てきます。
最も深刻なダメージを受けるのが脳で、
意識障害や食欲障害、記憶障害や感情障害などが起こります。
とりわけ深刻なのが食欲障害で、栄養不良から極端に痩せます。
また、免疫機能が落ちて感染症にかかりやすくなる、
女性では生理が止まる、といったこともあります。
循環器系の障害としては、心拍数が増えたり、血圧が上がったりします。
心不全や不整脈を起こすこともあります。
その他にも、肺気腫のような呼吸器系の障害、
胃腸や肝臓、腎臓の障害が起こることもあります。


■薬物依存

危険薬物に手を出すことで問題となるのが薬物依存で、
薬を止めたくても止められない状態です。
薬物依存になると、日常生活が破綻して、
何が何でも薬を手に入れようとして、なりふり構わなくなります。
多くの乱用者は、知人や友人から誘われたことがきっかけになります。
認識の甘さから、ちょっとした出来心で1回使ってみて、
気がついたら薬物依存になっている、というケースがほとんどです。


■薬物依存の治療

薬物依存が進んで、中毒症状が出ている時には、
降圧剤で血圧を下げるなどの応急処置をします。
しかし、薬物依存症を治療する薬は、今のところないので、
カウンセリングを中心とした治療になります。
カウンセリングでは、専門の施設に入院して、
薬物の使用を止めることを目指し、心のケアが行われます。
臨床心理士など、専門のスタッフがしっかり話を聞くことで孤立感をなくし、
再び薬物に手を出してしまわないよう寄り添います。
そして退院後は、患者会や家族会に入って、社会復帰を目指します。


■フラッシュバック

医療機関で治療を受けて、薬を使わない期間が長く続いたとしても、
ある日突然、何らかの刺激で、
幻覚や妄想などの精神症状が再発することがあります。
これをフラッシュバックと言います。
フラッシュバックが起こると、再び危険薬物に手を出してしまいます。
危険薬物は、臓器障害、薬物依存、そしてフラッシュバックという、
“負のループ”を生み出すことになります。


■まとめ

現在、若い人に危険薬物の乱用者が増えていますが、
1度でも使うと、依存症になって抜けられなくなり、
後遺症で苦しむことにもなります。
危険薬物は絶対に手を出さないようにしてください。
また、“合法ドラッグ”などと称して、
安全性をうたって販売されているものもありますが、全て違法です。
今、危険薬物の入り口は身近にたくさんあるので、
手を出さないよう、十分に気をつけてください。

過去の放送内容