子どもの近視
2024年07月20日
[過去の放送内容]
今回、子どもの近視についてお話を伺ったのは、
福岡市立こども病院 眼科 診療科長の
後藤 美和子 (ごとう みわこ) 先生です。
■子どもの近視とは
近視とは、眼軸長(がんじくちょう:角膜から網膜までの眼球の長さ)が伸びて、
網膜にピントが合わない状態です。
網膜より手前にピントが合って、近くは見える一方、遠くは見えにくくなります。
眼軸長は、身長が伸びる時期に一緒に伸びていくので、
成長途中の子どもは、近視を発症しやすいとされています。
■要因
近視は、遺伝と生活環境が関係していると言われています。
遺伝では、片方の親が近視の場合、子どもが近視になるリスクは3倍に、
両親が近視の場合には7倍になると言われています。
生活環境では、スマートフォンなどの長時間の利用、
外遊びの減少などが挙げられます。
■特徴
子どもの近視は、発症年齢が若いほど強くなりやすく、
また、年齢を重ねるとともに進行しやすいとされています。
近視が進むと、失明に至る目の病気の可能性が高くなると言われています。
■さまざまな目の病気
眼軸長が極端に伸びて病的な近視になると、
網膜などが引き延ばされて薄くなり、それが悪化すると眼球の変形が起こります。
それによって薄くなった部分の強度や機能が低下して、
網膜剥離や緑内障、黄斑変性などを発症することがあります。
■近視のサイン
子どもの近視を早く見つけて対策をするためには、
保護者が近視のサインを見逃さないことが大切です。
・テレビや本を見る距離が近くなった。
・遠くを見るときに目を細めている。
・集中力・学力が低下してきた。
・頭痛を訴える。
・目をよくこするなどが挙げられます。
このようなことが見られたら眼科で相談してください。
■対策
近視の進行を緩やかにする対策として、
太陽光を浴びると近視のリスクが低くなることが報告されています。
1日2時間程度を目安に、木陰で十分なので太陽の光を浴びましょう。
暑い夏場は、熱中症の対策も十分に取ってください。
スマートフォンやゲーム、読書など、近くを見ることは目の負担になります。
それらとは30㎝程度の距離を取る、
20分見たら20秒の休憩を入れる、といったことが大事です。
■治療
最近、一部の眼科では近視の進行を抑える治療が行われています。
近視が大きく進んでいなければ、
特殊なコンタクトレンズを寝る前に付けて、裸眼視力の矯正をしたり、
点眼薬や特殊な眼鏡などで進行を遅らせたりします。
■まとめ
かなり進んだ近視を完全に治すことは難しいとされていますが、
そうなる前に気づいて、進行を緩やかにすることは可能です。
保護者が、子どもの変化を見逃さないようにしましょう。