海外へトップセールス!個性強めなスゴ腕課長のPR大作戦 ~ふるさとWish大刀洗町~
2019年07月11日
[ふるさとのチカラ]
取材に訪れた2019年6月25日(火)。一面に緑色の畑が広がる大刀洗町では、枝豆の収穫が最盛期を迎えていました。
「知名度の低さ」脱却へ!農作物を生かしたPR活動
「今年は前半、雨が降らなかったので小粒になっていたが、今から梅雨になるので期待できるかなと思っています」と語るのは、枝豆生産農家の長野 豊治さん。粒が大きく濃厚な味が特徴という大刀洗町の枝豆。栽培が始まったのは5年ほど前からで、現在では町の特産品の1つとして期待が高まっています。しかし、そこにはある課題があるそうで…。
「町民がどこへ行っても、“久留米の隣だから”“鳥栖の隣です”とか、胸を張って“大刀洗”と言えないのが問題」と町の知名度の低さを憂いているのは、大刀洗町地域振興課の村田まみ課長。続けて、「町の現状がそんなに緊迫したものではないから、じっとしている間に周りから取り残されてしまう可能性は十分にある」と危機感を募らせていることも教えてくれました。
そんな村田課長は、ある日、町内の農家から旬の野菜を集めて福岡市天神へと運んでいました。2年ほど前から月に1度、福岡市の中心部で直売マルシェを開いているといいます。周辺のオフィスビルなどからお客さんがやってくるそうで、この日の会場も賑わいを見せていました。「ここで売り上げを上げようとは思ってなくて、野菜を介して大刀洗町を知ってもらうことが第一」と、村田課長はこのマルシェの目的を教えてくれました。
海外からの“逆輸入”で知名度アップ!
さらに、村田課長が福岡市以外にもアピールの場として考えたのは、なんと海外の香港!「大刀洗町の野菜をまずは香港で知ってもらいたい。大刀洗のファンを増やして、人と人との交流を作りたい」という展望を持った施策でした。
香港は、もともと多様な人種や文化が入り混じる都市。美食の街としても知られており、大刀洗町は4年ほど前から香港に売り込みをかけ、現地の有名ホテルや飲食店との取引を拡大してきました。
「香港で流行ったものは、次に東京に行く。すると、“東京で最近よく聞く大刀洗の野菜”という噂が福岡市に入ってくる。そこで初めて大刀洗町の人たちに『大刀洗の野菜は元気がいいみたい』『価値が上がってきたみたい』と理解してもらえる」と、冒頭の“知名度”問題に対する、斬新ともいえる村田課長の手法を明かしてくれました。つまり、香港でのPRで村田課長が狙っているのは「逆輸入」。野菜を通して海外での町の知名度を上げることで、それが国内に伝わり、日本でのファンを増やすことが狙いなのです。
そして、2019年7月5日(金)。20kgもの枝豆を持参した大刀洗町の一行が福岡空港にいました。この日の朝収穫したばかりの枝豆を持って、香港へPRに行くためです。実は、枝豆のPRは今回が初。しかし多忙な村田課長が行けないため、大刀洗町産業課の刈茅 王伸さんが枝豆のPRという大役を担います。
香港へ到着すると、一行は福岡県出身の店主が営む寿司店を訪れました。「福岡愛ですよ!(自身が福岡)出身でしょ。やっぱり応援したいし」と語る三笠屋の店主・本山 太一朗さんは、香港で大刀洗町を応援してくれる心強い存在。店を訪れるお客さんに、大刀洗町の枝豆を試食してもらう機会を与えてくれました。
大刀洗町の枝豆を食べた香港の人の評判は、「今まで食べた枝豆の中でも、味が濃くて豆が大きい」「味が濃くて、さわやかな感じでおいしい」と上々。「農家が愛情を込めて作っていて、大刀洗は栄養がある土地なので、おいしいんです」とその魅力を伝えながら、2日間で3か所をまわり、枝豆をPRしました。
PRを終えた刈茅さんは「(インパクトがすごい)村田には敵わないかな」と言いつつも、「確実に大刀洗町を知ってもらうきっかけになりました」と成果に自信も。「農産物を武器に海外から攻める」。村田課長が考え出したこの手法で、大刀洗ファンはじわじわ増え始めているようです。
もちろん国内でもPR活動は怠りません。2019年7月27日(土)28日(日)の2日間、大刀洗町役場にて「大刀洗枝豆収穫祭」が開催されるそうです。この機会にぜひ、大刀洗町の絶品枝豆、食べてみませんか?
大刀洗枝豆収穫祭
問い合わせ先:大刀洗町役場
TEL:0942-77-0173
※この記事は2019年の情報です(「シリタカ!」7月11日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。
※2023年の「大刀洗枝豆収穫祭」は7月末に開催予定です。