豚骨臭い? それがいいっちゃん! ひたすら濃く、泡ぶく。「福間ラーメン ろくでなし 新宮店」年間300杯! 豚骨戦士 福岡のラーメンを斬る! VOL.32~ふるさとWish 新宮町~

「福間ラーメンろくでなし 新宮店」の「煮卵入りこってり豚骨」(¥730)

福岡東エリア。なかでも、国道3号&旧3号はラーメン激戦ロードである。九州産業大学を左手に北へ進むと一蘭、雷蔵、博多三氣、一葉軒(本連載VOL.18で紹介)などが次々に現れる国道3号。一方、旧3号では、赤のれんクーニャン、ラーメン大王、仁科家(味噌ラーメン)、かしい亭など昔ながらの店が今なお存在感を放つ。挙げた店はこの界隈のほんの一部。ジャンルも多彩な実力店がまだまだ軒を連ねているだけに、いざ啜りたくなった時はどこに行くか悩ましい。同エリアにはIKEAやカインズもあり、買い物帰りにラーメンスイッチの入った友人から「この辺りは、どこが旨いと?」と、問い合わせがくることもしばしば。特に、濃〜い!! 直球豚骨派には胸を張って答えよう。それは「ろくでなし新宮店」である。

幼馴染みと作った特濃豚骨を “福間ラーメン”と名付けた

旧3号沿い。IKEAやカインズから車で約5分

「福間ラーメン ろくでなし」は福津市に本店(2013年開業)があり、新宮店(2016年開業)と宮若店(〃)の計3店舗を構えている。筆者はこの店の“ひたすら濃い”“猛々しい”豚骨ラーメンに惚れ抜いているわけであるが、まずは店主・中村誠さんの愛すべき人柄と、非常に興味深い彼のラーメン道を紹介したい。

中村さんは昭和54年福津市出身。幼い頃からラーメン好きで、かつてあった長浜ラーメン小太郎や誠龍など、旧3号沿いの古の博多豚骨に親しんで育った。18歳で上京し、20歳のとき、ある人と運命的な出会いを果たす。芸人・タレント・実業家のデビット伊東さんその人である。「でびさんがとんねるずのTV企画でラーメン店を立ち上げて間もなく、知人を通して知り合いました。当時私は学生だったのですが、でびさんの熱い人柄とラーメンの味に惚れて弟子入りしたんです」。でびさんが手掛けるラーメン店“でび”“でびっと”は、爆発的人気を博し、中村さんは10店舗近くの系列店をみるマネージャーにまでなる。イベントやフードテーマパークへの出店で、さまざまなラーメン店主とも親交を深めた。長崎・麺也オールウェイズの高木さん、熊本・ラーメン陽向の内田さんなどは、切磋琢磨する当時からの仲間だ。

「ろくでなし」店主の中村誠さん。写真の寸胴は“こってり”のスープ。 “あっさり”のスープにゲンコツを足して煮込み、熟成させる

「約13年間でびさんと働かせてもらった後、ふと地元の幼馴染みたちのことを思い出したんです。『将来、一緒になんかできたらいいね』と漠然と話をしていたから」。中村さんは福岡に戻り、幼少からの仲間にラーメン店を始めるべく声をかけた。「ちょうど皆のタイミングが合って、うまく役割分担もできました。私がラーメンを作れるし、お金に強いものもいたし、内装を手掛ける大工もいた。皆でいっちょやってやるか!って。近所の悪ガキどもが集まって始めた訳です(笑)」。

「いろんなラーメンを作ってきたけど、やっぱり臭い豚骨が好きだ」

「ろくでなし」の創業メンバー。中村さんの呼びかけで昔の仲間が集まった

2013年に開いた福津店は、中村さんが幼いころから家族で訪れていた旧3号沿い「長浜ラーメン小太郎」の居抜き物件であった。

「小太郎は、地元のおいちゃんたちが焼鳥を食べながら飲んで騒いで、シメにラーメンを啜る。そんな大衆酒場でした。子供ながらに大人が酔っぱらってうるせーな、と思ってましたね(笑)。まさか、そこで自分がラーメンを作るとは思ってもいませんでしたけど。東京で長く修業していたので、スタイリッシュな店を出す、という思いもあるにはありました。でも、かっこつけてもしょうがない。原点の地でひたすら濃く、臭い豚骨を出してやろうと。いろんな経験をして、やりたかった事を再確認できたんです」と、中村さんは話す。

「ろくでなし」のラーメンは、福津、新宮、宮若それぞれの店炊き。

豚頭100%の「あっさり」と、ゲンコツを足す呼び戻し手法「こってり」の2本柱の豚骨ラーメンがある。

「“あっさり”の方は、強火で一気に乳化させるので早い段階で完成しましたが、“より濃く、臭いスープ”の“こってり”は味を作りだすのにだいぶ時間がかかりました。“こってり”の方が、ガツガツ炊いているイメージですが実は逆なんです。ゲンコツを足して弱火でコトコトする時間や熟成も経るため、とても難しい」と中村さん。


“こってり”は、表面に細かい泡「脂泡」が浮く。骨の量の多さ、しっかりと熟成させることに由来しているのだが、泡あわが口当たりをよくすることにも一役かっている。

スープはとにかく濃厚でコクが深い。中村さんと親交の深い久留米・龍の家の製麺所からとる細ストレートとの相性も申し分ない。

唐揚げはシンプルな“塩”ほか“ピリ辛”“タルタル”“ネギポン酢”の4種がある

福岡東エリアで濃い! 豚骨モードになったら、迷わず「ろくでなし」である。
博多らしいパンチと重厚感があるので、来福した人を連れて行くのにもいい。

【福間ラーメン ろくでなし 新宮店】
住所:福岡県糟屋郡新宮町下府3-18-1
電話:092-963-3918
営業時間:11:00〜23:00、金・土・祝前日〜24:00
休み:年末年始
席数:32席
駐車場:20台

上村敏行(かみむらとしゆき)。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」

※この記事は2019年の情報です。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。

福間ラーメン ろくでなし 新宮店

住所:福岡県糟屋郡新宮町下府3-18-1
電話番号:092-963-3918
営業時間:11:00〜23:00、金・土・祝前日〜24:00
定休日:年末年始

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