「未来に残したい市民遺産“木うそ”を守りたい!」保存へ向け立ち上がる市民~ふるさとWish太宰府市~
毎年1月7日に行われる、太宰府天満宮でおよそ400年続くという「鷽替神事(うそかえしんじ)」。太宰府市の市民遺産である「木うそ」という木製の人形を参加者同士が交換することで、一年間についた嘘を清算し、幸運をいただくという意味があるそう。ちなみに、木うそは実在する鳥・鷽をモデルに作られています。
400年続く神事に必要不可欠な“木うそ”
太宰府天満宮の藤田 英雄さんによると、鷽は「悪いことがあったときに助けていただいたという伝説から、天神様のお使いとして信仰されている鳥」なのだとか。古くは太宰府天満宮建立の際、クマバチの襲来で進まなかった建設を、鷽が追い払ったことから“災いを払う鳥”ともいわれているといいます。
しかし、この「木うそ」は、平成に入ると作り手の減少から数を集めることが難しくなりました。そこで、市民の手で作り手を育てようと1998年に発足したのが「太宰府木うそ保存会」です。「初めは20人くらいで発足したのですが、毎年、新規養成講座をやっているので、10人程度入られて増えてきましたね」と太宰府木うそ保存会の青柳 健夫会長。
2019年夏に入会した男性に話を聞くと「定年後の趣味としてもいいかなと思い、やりはじめました。羽上げするところが繊細で、幅をそろえるのが非常に難しい」とのこと。試行錯誤しながらも、木うそ作りにやりがいや魅力を感じる人が増えているようです。
木うその保存には人と木が必要!
木うそを研究している方がいらっしゃるということで、会いに行きました。太宰府木うそ保存会で広報部“鳥”を務める柳 智子さんです。研究のために集めた木うそは何と300個以上!「(自身にとっては)当たり前にあるものなので、いろいろな方がいろいろな研究をしているだろうと思っていたら、ほぼ誰も研究してなかったとわかって。それからはまってしまいました」と語る柳さん。
太宰府市民遺産「木うそ」を守っていくにあたり、今後の課題は何でしょうか?「人を育てることと原材料である木を育てること、そして常にPRし続けていくことだと思います」と柳さん。
以前は職人さんが行っていた木うそ作りが、今では市民で守っていっているという状態である上、さらに問題となっているのが、材料である「コシアブラの木」が入手困難になっていること。保存会は、この原木の育成活動にも今後取り組んでいきたいとのことです。
太宰府の伝統的な「鷽替神事」。さまざまな人の努力があり、成り立っているという背景を踏まえて参加してみると、より充実したものになるかもしれません。どなたでも参加可能とのことなので、ぜひ1月7日は、太宰府天満宮を訪れてみてください。
太宰府木うそ保存会
福岡県太宰府市観世音寺1-2-1
※この記事は2019年の情報です(「シリタカ!」12月11日放送)。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。