自家製麺が旨味をねっとり持ち上げる“激濃”「がんこもんラーメン 遠賀本店」豚骨戦士 福岡のラーメンを斬る! VOL.50~ふるさとWish 遠賀町~

「がんこもんラーメン 遠賀本店」のチャーシューメン(800円)

遠賀エリアのラーメンでは、「がんこもん」「黒門」の2つの豚骨店に惚れ抜いている。「黒門」は以前の遠賀町内から隣の若松区青葉台南に移転した後も人気は健在。飯塚市「来来」や宮若市「来々軒」などとともに、豚骨創世記の形でもある“淡麗豚骨”“クリア豚骨” の名店として知られる。一方「がんこもん」は、それはそれは濃い、重厚な茶濁豚骨ラーメン。24時間営業で年中無休、思い立ったらいつでも啜れるのも魅力だ。「がんこもん」「黒門」は車で10分程の距離。同じ豚骨でも“濃淡”。濃度が両極端なラーメンを食べ比べてみるのも楽しいだろう。今回は“濃”が主役。今週のふるさとwishの舞台である遠賀町「がんこもんラーメン」について詳しく紹介する。

超絶に濃い豚骨を24時間啜れる幸せ

「がんこもんラーメン」店主の入江宏治さん。10代後半でラーメンの道に入り、30年以上豚骨ひと筋。カンカンッ!と網を叩きながらスープを濾す

ド派手なピンクの大看板、オレンジの暖簾をくぐり店内に入るとまずは、力強く香る豚骨フレーバー。コの字カウンター中心の厨房には寸胴5、6本がドズンと据えてあり、鍋の中に“折り畳むように”大量投入された豚皮も見える。

割烹着が入江さんのユニフォーム。手前の寸胴に見えるのが 重厚感を引き立てる豚の皮

白濁を通り越し、茶濁となったいかにも濃そうな追い炊きスープを木の棒で混ぜ込む男。32年前、弱冠20歳で「がんこもん」をオープンさせた入江宏治さんである。入江さんは1967(昭和42)年、遠賀町出身。学生時代、何か商売がしたいと思い立ち、大好きだったラーメンに着目する。食べ歩きを重ね、特に惚れ込んだ店が、かつて福岡市の野間四つ角にあった「がんこもんラーメン」であった。「地元に自分の店を出す、と強い決意をもって十代後半から修業に。大学も辞め、ラーメンに賭けたんです。入店した先の大将はもう他界されていますが、本当にお世話になりました」と入江さん。この野間四つ角の同名店。30年以上前の話につき、筆者は食べたことはないが、長浜御殿が源流の店だったという。興味深いのは現在、入江さんが作っているラーメンとは全くの別もの。どちらかというとあっさり、細麺のいわゆる長浜系であったこと。「がんこもん」の代名詞である追い炊き激濃スープはどのように作られていったのか。

ラーメンの最強のお供がシンプルなおにぎり(2個150円)。佐賀県産の米を使っている

入江さんはこう振り返る。「1988(昭和63)年に独立開業した最初の地は遠賀郡岡垣町。当時、岡垣バイパスの整備や周辺の土地造成が盛んに行われていて、現場で汗を流す工事関係のお客様がとても多かった。“もっと濃く!”との要望に応えるため、呼び戻し&追い炊きの手法となり、塩気もより効かせました。濃度が劇的に上がり、細麺だとスープに負けてしまうため、麺も太めに改良。気がついたらどこにも属さない“がんこもん”独自の味ラーメンになっていましたね」。

スープは煮込む時間、濃度が異なる1〜5番スープを駆使し、ロータリーしながら絶妙に合わせていく。キレ、コク、髄の旨味がより立ったもの、荒々しさ。約12時間ずつ煮込む時間を変えたそれぞれのスープの長所を馴染ませるイメージだ。大量の豚皮から染み出るコラーゲンも、一体感を生むための大事な要素。粘度の強いとろみスープのなかを中太麺がくぐり抜け、髄と皮の旨味を持ち上げてくる。ひと口目からハッ!となるインパクト、突き抜ける旨味があり、かつ丁寧に濾してあるためざらつきがなく飲みやすい。キメの細かい濃密なスープだ。

店前と第2駐車場で計20台。24時間、年中無休で思い立った時、確実に食べられる

また、「がんこもんラーメン 遠賀本店」は24時間営業、年中無休がモットーである。「大雪でも台風でも決して閉めません。24時間営業を始めてから店内の電球も消したこともないですね。創業当時は深夜までの営業だったんですが、閉店後シャッターを半分閉めている状態でもお客さんが『ラーメン食べさせて』と、構わずくぐって入ってくる。寒い中来てくれた人を帰すのがしのびなくて。“いつでも待っとるけん、ラーメン食べに来んね”そんな思いで、24時間営業を始めました」。

入江さんは、遠賀本店と支店の福岡店(古賀市)を行ったり来たりしながら厨房に立つ。本店と隣り合う製麺室で自家製麺作りも行う。さらには北九州、筑豊のラーメン連合「六倉会」のメンバー。後輩たちのこともいつも気にかけ、いい相談役になっている。まさに寝る間も惜しんでの仕事ぶり。だが、入江さんはいつ会っても疲れはみせず、パワーみなぎる頑固もん。豚骨ラーメンが好きすぎる! この目の輝きは店を作った20歳から全く変わっていないだろう。

【がんこもんラーメン 遠賀本店】
住所:福岡県遠賀郡遠賀町旧停1-5-12
電話:093-293-0469
営業時間:24時間
休み:なし
席数:30席
駐車場:20台(無料)

上村敏行(かみむらとしゆき)。1976年鹿児島生まれ。2002年よりラーメンライターに。以降年間300杯を食べ歩き「ラーメンWalker」はじめ各媒体での執筆活動、ラーメンイベント監修などを行う。KBC地域リポーター。

※この記事は2020年の情報です。内容は変更している可能性があります。事前にご確認ください。


がんこもんラーメン 遠賀本店

住所:福岡県遠賀郡遠賀町旧停1-5-12
電話番号:093-293-0469
営業時間:24時間
定休日:なし

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